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時代が変わって行燈が蝋燭に、蝋燭が百均のライトに取って変わっても、百物語という文化そのものは受け継がれているところに、ホラー話ながら妙な感動を覚えてしまった。
怪談の中にはどうしても廃れてしまうものもあるけれど、百物語はどの世代でも通じる話ではないかなと思う。
それは、人々が伝え続けてきたからこそ残ってきた物だと思う。
百物語に限らず、多少形を変えたとしても受け継がれていく文化って尊いなと。

ただ死者や死者を大事に思う人たちの気持ちを踏み躙る行為は許されることではない。
そこはビシッと諌める高槻先生である。

前半はそんな百物語の話。
後半は尚哉が過去に踏み入れたあの謎のお祭りの話。
先生がいるから大丈夫だと、こちらは勝手に楽観視していたら、予想していたより大ごとになってびっくりした。
そうだよな。
死者の世界に「2回」も紛れ込んで無事で済むタイプの話はそうお見かけしない。
ただでさえ1回目で対価を支払っているから余計に2回目が無事な訳がない。

ただここで助けに入ってくれたのが、これまた意外や意外、でも寧ろこの人でなければ切り抜けられなかった(要はこのために用意されたかのような)人の登場で、チートな切り抜け方を見せてくれた。
でも、結果的に高槻先生は対価を支払った気はする。
引き換えに一度は欲しかったものを得て、再び失って、トータル的にはマイナスな気がする。
何しろ、先生は引っ張り出してしまったから。
彼の背中の傷に関わる存在を。
命は助かったラストではあるが、不穏を残す形となった。
これからの先生が本当に心配である。

番外編の瑠衣子先輩の話が、余計にその不安を煽った気がする。
基本的にほんわかな話だし、瑠衣子先輩の先生への想いは物凄く理解できるのだが(ぽわんと丸い、言い得て妙)「ここに留まってくれない」みたいな不安感も確かに存在していたので。
最後の最後、「よかった、ちゃんといる。」この一文が、今回の本編を読んだ後だとより心にしみる。

改めてこうして振り返ってみると、いつも以上に噛み締め甲斐のある一冊だったと思う。
どうかどうか、皆が笑っていられる未来に繋がっていきますように。

そのためには、尚哉くんはますます先生を制御する術をマスターせねばだな。
まずは体力づくり、頑張ってくれ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(作者名:さ行)
感想投稿日 : 2020年11月30日
読了日 : 2020年11月30日
本棚登録日 : 2020年11月30日

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