恋する弟子の節約術 (二見サラ文庫)

4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 19
レビュー : 1
著者 :
いこさん 小説(作者名:あ行)   読み終わった 

伏線の張り方が凄かった。
確かに冒頭に「全て想定内」と言ってはいたが、主人公は分かっていたんだなと。
初恋相手が何故主人公のことを思い出せなかったのか、主人公が極端に多くを望まない理由などなど、段々と明かされる秘密に「ああ、だからこういう書き方していたんだな」と後からびっくりさせられること多数。
構成がうまい。

幻香師という職業も細やかに練られていて、素敵な職業に思えた。
実際はクレームも多いのだろうが。
自分が実際に身に着けているお守りの力を信じてみたい、そんな気にさせてくれる話だった。
そう、主人公が彼のことを「魔法使い」だと信じてきていたから、彼も救われたことが多々あった。
信じる力は、こちらが思っているより遥かに強大な力になるのだろう。

一つ一つのエピソードも本当にしっかり練られていて、どれも印象的。
そんな中、柊木なる人物の活躍が少ないなと思っていたら、最後の最後でやらかしてくれて「やっぱりな」と無駄のない人物配置に拍手。
こいつがまた平気で嘘を吐くえげつない野郎だったという。
利用するものは利用して、不必要になったらポイ捨て。
うん、でもこういうキャラがいてこそ、あの展開があってこそ、ヒーローの活躍が目立つ。

主人公が抱えていた最大の悩み。
それを解決するのはヒーローの純粋なる願いだったのが感動的で思わず泣けた。
「頼む、信じてくれ。魔法にかかってくれ」
この言葉で涙腺が大決壊。
ここまで彼が積み重ねてきたものがあったから余計にぐっと来た。
その魔法にかかった場面がまた非常に美しくて幻想的で綺麗で、とにかく印象的。
あのシーンを拝めただけでも読んだ甲斐はある。

だだ漏れだった恋心には決着がつかなかったが、主人公の幻香師の弟子としての修行はこれからも続く。
目指せ、稀代の幻香師!
これまで我慢してきた分、思う存分自分の幸せを願ってくれと切に思う。

この主人公、貧乏暮らしが長いせいで非常に逞しい。
オオバコもタンポポも彼女にかかれば立派な食材になる。
節約、野草料理はお手の物。
家事は無論バリバリこなす。
いい嫁になるぞ、これは。
金銭感覚麻痺しているお坊ちゃまなヒーローにはぴったりな相手だ。
末永くお幸せに、というのは早い祝福だろうか。

レビュー投稿日
2020年7月24日
読了日
2020年7月23日
本棚登録日
2020年7月23日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『恋する弟子の節約術 (二見サラ文庫)』のレビューをもっとみる

『恋する弟子の節約術 (二見サラ文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする