この人の評論は間違いない、と大学時代の恩師に言われ、何度か読んだが難しすぎて分からなかった。でもかろうじて理解できる部分に、間違ったことは書いてなかったと思う。
この人の閾、新しい小説の一つとして、悪くない読書時間だった。ちょいちょい出てくる考察がいらない、いっそそういうものすらなくした小説が読みたい、読者に対するヒントなしの。この地に足がついた文章は読んでいて心地よい。
芥川賞の選評見ても、まぁどの芥川賞も大抵そうだけど、賛否両論。技術的な部分やまとまりはともかく、みんなそれぞれ独自の小説観を持っていて、それはプロの作家であるのに、賞レースにおいても一定の評価基準がないのは、芸術であるがゆえ。一つの小説で色んな読み方が、楽しみ方、うまい部分、表現があると思うけど、たぶんいい読み手はそれをなるべく多く汲み取れるし、いい作品はそれが多くて質も高いんだと思う。
シンプルなゆえに味わい深く、そういうことを考えた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年8月12日
- 読了日 : 2014年8月12日
- 本棚登録日 : 2014年8月12日
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