邂逅の森

著者 :
  • 文藝春秋
3.89
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本棚登録 : 431
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163225708

作品紹介・あらすじ

「家に帰って、妻の手を握りたい」熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英がおくる感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • はい、本とコさん絶賛の『邂逅の森』だべしゃ

    面白かったです
    まず時代設定がいいですよね
    大正のある種混沌とした時代背景の中で語られる人と自然の物語

    そしてなんてたって夜這い文化ですよね
    勘違いされてる方も多いのですが、そもそも「夜這い」というのはですね、一定程度の男女間の合意に基づいたプ…

    ( ゚д゚)ハッ!

    危ない危ない
    本とコさんやおびーのレビューとは違った切り口をと意識するあまり危うくシモに走るところでした

    もうちょっとで俺の十七年式村田銃が火を吹くぜ!とか言っちゃうとこでした(言ってる)
    危なかった〜(言ってるって)

    よし、方向転換

    つまりどういう話だったかというとですね
    ヌシと呼ばれる巨大グマよりも自分の奥さんのがおっがね〜ので早く家に帰って奥さんに股間の十七年式村田銃を…

    ( ゚д゚)ハッ!

    うん、まぁ気になる人は本とコさんのレビュー読めばいんじゃね?(文庫の方だよ)

    (⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~

  • 本当に久しぶりに読み応えがあって感動する小説に出会いました。

    先日熊谷さんの『バイバイフォギーデー』を読み終わって,著者紹介の欄をみていると,熊谷さんには山本周五郎賞と直木賞をダブル受賞した作品があって,それがこの『邂逅の森』だということを知った。

    もうづいぶん前に出た本だったので,いそいそとTSKへ出かけると本は有った。連休中のこととて日中から一晩で読了してしまった。

    本当に感動的作品です。

    最近のこの種の重いというか深いというか,内容の濃い作品わとても少なくなってしまったような気がする。

    濃い作品の例をあげると,夢枕獏の『神々の嶺』とかさ。

    代わって,このごろは軽くてすぅらすらと読める作品が多いなぁ。

    いやべつに,軽くて読みやすいお話が悪いというつもりは無かんす。

    ただ,時々はこういう深重の作品もよまねばねばなぁ~と思ったのです。

    すまんこってす。すごすご。

    • tsuzraさん
      こんばんわ。
      私もこの作品には本当に感動して、しばらく余韻が残りました。
      人生が途中で展開していく面白さと、自然の厳しさと狩りの臨場感と、運...
      こんばんわ。
      私もこの作品には本当に感動して、しばらく余韻が残りました。
      人生が途中で展開していく面白さと、自然の厳しさと狩りの臨場感と、運命と、人間の鬼の部分も書かれ、重厚な内容。
      大好きな作品です!
      時々はこういう作品に出会いたい…同感です。
      2012/05/07
    • ryoukentさん
      わぁ、つづらさん、おひさしぶりぶり。
      お元気ですか、わたしは『元気です!』
      この作品もっと早く読めば良かった、と思います。
      そして今はそのほ...
      わぁ、つづらさん、おひさしぶりぶり。
      お元気ですか、わたしは『元気です!』
      この作品もっと早く読めば良かった、と思います。
      そして今はそのほかの熊谷さんの本にくびったけ状態です。あな、嬉し。
      2012/05/07
    • tsuzraさん
      はい、元気です!
      熊谷作品「バイバイ・フォギーデイ」は政治ものなのですか?
      ryoukentさん、5つ星ですね。
      図書館に予約してみようかな...
      はい、元気です!
      熊谷作品「バイバイ・フォギーデイ」は政治ものなのですか?
      ryoukentさん、5つ星ですね。
      図書館に予約してみようかな。
      2012/05/08
  • マタギで生きて行くしかない、富治の逞しく、生命力のある、昔の男らしく生きる姿を描く物語。何度となく心を揺さぶられる主人公の波乱に満ちた人生は、本当に芯の通った男らしさがあった。ラストの山の神との対峙は感動的ですらある。

  • 山の神と生きるマタギの姿。
    男が惚れる男の物語。
    感動モノです。

  • 石井光太氏がおススメしていた一冊。

    東北弁を文字に起こすのはとても難しい。鼻濁音・音としてはっきり発しない「息」のような発音。。。
    しかしながら、方言も含めてとても臨場感がある表現がちりばめられている。
    深々と雪が降り積もる季節に読めて良かった。

  • 大正3年頃から昭和初めにかけて秋田の山奥でマタギ(熊を獲る猟師)として活躍する富治の数奇な運命。若い日の地元の名士娘・文枝との恋、そして地元を追放されてからの鉱山夫、また猟師に戻っての日々と小太郎、その姉で妻になったイクとの出会い。そして猟仲間の鉄五郎などの脇役との出会いも魅力的です。小説の終盤での文枝との再会、イクへの愛情。そしてクマの格闘に生涯をかけた富治らしい大クマのヌシとの対面など、息もつかせぬ感動の連続で、泣かされる荒筋であると共に、古いこの時代のおおらかな若者の性などの風俗に驚きです。読後の余韻も快い、素晴らしいドラマでした。

  • マタギって全国区の名詞なんでしょうか?

    マタギとは、主に東北地方で熊やカモシカを狩猟して生計を立てていた人たちの呼び名です。本書ではそんなマタギを生業とする男の半生を記しています。とはいえ現代人から遠い昔のおとぎ話などではなく、実に生々しい人間模様と恋愛、家族、故郷について語られています。
    里ではまったくの俗人である若者が、山に入り自然と戦う中で、獣となり、木となり石となり、山の神へと近づいていく姿に圧倒されます。

    正直かなり性描写が多いので大人向けな内容ですが、その描写についても当時の風俗、習慣を入念に研究されたらしく、当時の平民の生の生活感もリアルです。

    私は、読んだだけで映像や空気や息遣いまでが伝わってくる小説が好きです。本書はそんな小説です。

    しかし、やっぱり第一次産業の男はかっこいいね。

  • 時代は大正初期、秋田県月山山麓。深い山に入り熊やカモシカなどの獣を猟とするマタギの物語。2004年直木賞受賞作。その時代の歴史物語としても民俗資料としても内容が濃く重厚な作品で読み応えがあった。マタギの家の次男として育った富治の生涯は波乱。東北の厳しい冬を思いめぐらしながら最初から最後まで圧倒されるような緊迫感と迫力をもって読み終えた。山歩きという趣味の世界でいろんな山に入る(入らせていただくと言ったほうがいいかもしれない)けれど、山への畏怖の気持ちを抱かざるを得ない。そこには自然への敬虔な気持ちが生まれている。

    タイミングよく今年(2013年)になって新聞に阿仁マタギの資料を世界遺産級に指定する動きの記事があった。

  • 直木賞アーンド山本周五郎賞受賞作です~。
    大正時代の東北を舞台にした猟師マタギの生き様を描いた長編小説です。

    いや~~~~~。
    これは凄かった!!

    最初読み始めたときは
    「え~?猟師のはなし~?」てな感じでちょっと躊躇したのよ。
    でも、それがどっこい。
    こんなに奥の深い小説を読んだのは初めてです。
    かなり感動してて興奮してて、何から感想を述べていいのか分からない。

    まず、驚いたのはマタギという仕事が、こんなにも神聖で先祖から仕来りや技、意志を代々受け継がれている仕事だとは思わなかった。ただ単に動物を殺して売りさばいてる仕事としてしか知恵がなかった自分を恥じました。
    殺生な仕事だからこそ、そこには山の神様との関係が根強くあり、それを大切にとりもって仕事が出来るのだと思う。

    そして、親子の絆と夫婦の絆。
    親が子を思う気持ちほど大きいものはないし、愛し合った夫婦こそ絆の強いものはない。
    村を追い出され何十年かぶりに帰郷した富治を見た富治の母親の姿。
    子供のために身を削ってまで働いて娘を嫁に出した富治夫婦。
    富治の初恋を成就させるために、自ら身を引こうとしたイク。
    村の区長に言われ、なんとなく結婚してしまった富治とイクだったけど、長年連れ添った仲でいつの間にかお互いに大切な存在だと気づいた富治とイク。
    富治がイクを探しまわって、最後に見つけた因縁のあるお店での再会。これには泣けました。
    なーんかね、「ああ、夫婦っていいな~」って思っちゃった。

    何度もクマを撮り、最後クマに足まで食べられながらも、最後はクマに助けれるところも感動。

    そして、出てくる登場人物もみーんな味があって良い!
    もうね~、1ページ1ページに読んでる意義があって、この一冊で人生を学べた感じがする。
    もっともっと言いたいことがあるのに、何を言っていいかわからない。
    大声で泣きたい心境です。
    ほんと感動した。感動して泣きたい。

    これは是非いろんな人に読んでもらいたい本です。

  • 時は大正時代、東北の山深い村に住むマタギの青年・松橋富治は
    身分の違う娘との恋に落ち故郷を追われてしまう。
    その後採鉱夫として働くこととなりさまざまな経験、さまざまな人との出会いをしていく中で
    富治はマタギへの情熱を再燃させてゆく。

    とても壮大な自然が目前に見えてくるような小説だった。
    序盤はマタギの「山言葉」に慣れずになんどもページを戻ったりして読みにくかったけども
    富治の波乱に富んだ人生にぐいぐい惹き込まれた。
    獲物を得るというよりも「山の恵みを授かる」という自然への畏敬の念にあふれたマタギの掟のあまりの厳しさに驚くけれど、こういう想いはとても大切なことだなと思わされる。
    今のような世の中だと余計に自然に対して心が傷んだ。
    そして富治をとりまく二人の女性の心持ちがとても印象的。
    控えめな中に芯の強さと忍耐強さがあって大正時代の女性のしたたかさを感じる。
    ラストはとても緊迫感があってまさに雄大な自然との対決が繰り広げられる。
    ついつい目を背けたくなるような描写もあるのだけど富治のひたむきなマタギとしての想いが伝わってきた。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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