このあと どうしちゃおう

  • ブロンズ新社 (2016年4月22日発売)
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本棚登録 : 3914
感想 : 316
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「余裕のある世の中、豊かな世の中とは、どんなことでも品のあるユーモアできちんとふざけられること」。
ある雑誌の特集での作者の言葉に感銘を受け、子どものころから二十数年ぶりに絵本を買ってしまった。
死んだ祖父の部屋からこれからどうしちゃおうと題されたノートを発見した孫。
そこには祖父の死後の計画が突拍子もない想像力で綴られていて……

こんな天国あったらいいな、こんな神様いたらいいなとか、死んだあとが楽しくなる「もしも」がコミカルな絵とユーモラスな文章で綴られて大人が読んでも十分楽しめる。
ヨシタケ氏さんの絵はかわいらしさの中にとぼけた味わいがあって、何回読んでもしみじみとおかしみを味わえる。

読んでるうちにもういないおじいちゃんの人柄が伝わってきて、自然と親しみがわいてしまうが、そのぶん「ほんとうはすごくこわくて すごくさびしかったんじゃないか」の見開きのインパクトが胸に迫る。

されどけっしてシリアスに傾かず、死をあくまでカジュアルに扱う心意気が憎い。おじいちゃんの映画(なにげに第二弾まで!)私も見たい!トイレに座る孫や、小さい子に微笑みかける孫はおじいちゃんそっくりで和む。ラストページ、男の子の後ろをくるくる回って吹かれていく袋はひょっとして……?

どのページも軽やかに明るくて好きだが、「こんな天国あったらいいな」で、真っ先に「おばあちゃんがいる」が出てきたのはほろりときた。
こんなふうに死と向き合える絵本がもっと増えたら素敵だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年6月17日
読了日 : 2019年6月17日
本棚登録日 : 2019年6月17日

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