新装版 海も暮れきる (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年5月13日発売)
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本棚登録 : 305
感想 : 30
4

 尾崎放哉という人は、俳句とかさほど興味がないぼくのような人間を「咳をしても一人」という句ひとつで引き付ける、不思議なパワーの持ち主です。まあ、鬱陶しそうな…という感じのイメージなのですが、その放哉をきびきびとした文体で「歴史小説」の傑作を書いた、今は亡き吉村昭が、独りぼっちで咳をしている放哉を「鬱陶しさの塊」として描いているのですが、どこかにいたわりとやさしさが響いている作品で、読み終えると何ともいえず哀しい作品でした。
 ブログに感想を書きました。覗いていただけると嬉しい。
  https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202107300000/
 
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学・日本・小説
感想投稿日 : 2021年10月3日
読了日 : 2021年7月5日
本棚登録日 : 2021年7月4日

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コメント 2件

kuma0504さんのコメント
2021/10/12

こんにちは。
本書は傑作です。
小豆島の放哉終焉の地で何気なく、本書を買い、帰りのフェリーの中で読み終わり涙が出て終わりませんでした。放哉が可哀想で、可哀想で。

シマクマ君さんのコメント
2021/10/12

コメントありがとうございます。
吉村昭が「放哉」を愛しているというか、好きだったのでしょうね。数人の本読み会で読んだのですが、描かれている「放哉」という人については、泣く人と怒る人がいて面白かったですよ。さすがに笑う人は、若いひと(30代)にもいませんでした。
 ぼくは、妻も含めて、周りの人の描き方に胸打たれました。

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