二重らせん (講談社文庫)

  • 講談社 (1986年1月1日発売)
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感想 : 53

医学部で生化学を学んでさらに博士課程で論文も書いたので科学部分についてはある程度すらすらと読めたが、そうでなければちょっと読んでてしんどい部分も多そう。とはいえストーリーとしての面白さに加え抜群にユーモアもあり読み物として単純に面白く、売れた理由はよく分かる。
訳者あとがきにも書いてあるとおり「科学の本質は競技ではない。早く発見したからといって誇ることが大切なのではなく、科学の体系を世界の科学者が力を併せて発展させることが大切なのである」という考えに私も賛成なので、ポーリング、モーリス、ブラッグらの二重らせん発見後の態度が科学者らしいと考えてしまうが、ワトソンが当時24歳であることを考えれば、またこの実績を考えれば、苦言は負け惜しみにしかならない。
そしてワトソン自身もこの発見により大きく発展する世界を随所で夢想するように、やはり科学の体系の発展を真に考える科学者なのであろう。
戦争が科学を発展させると言うが、少なくともこの本では政治と戦争は科学を邪魔するものとしか描かれていない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: リベラルアーツ
感想投稿日 : 2024年7月12日
読了日 : 2024年7月12日
本棚登録日 : 2024年7月12日

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