本棚に本を並べていたら間に本が増えていた―。
大阪の四代にわたるある一族の、幻書にまつわる荒唐無稽なファンタジー。
本にだって雄と雌があり、交尾をすれば相性のいい本の間には子どもが生まれる…なんていう人を喰った与太話が、クセがある文体で長々と饒舌に語られ、もうおなかいっぱい!というほどに楽しめました。
中盤までは主人公の一族のエピソードが四代にまたがって延々と語られ、ちょっとダレてしまうのですが、後半は怒涛の圧倒的展開となり、ここに至ってやっと前半の無駄だと思った部分が生きてきます。
私たちは何のために生まれ、どこへ行こうとしているのか。
一冊の本のように私たちの人生もまた常に誰かの物語の続きであり、それは円環の中で生き続け、やがては永遠へとつながっていく。
そんな深い思索へと読者をいざなっていきます。
そしてこの本も、数々の名作の中から生まれてきた――生まれるべくして生まれてきた本なのだと気づかされるのです。
著者の書物への愛情が随所に感じられる、本好きにとってはたまらなく愛おしい物語だと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年3月19日
- 読了日 : 2013年10月11日
- 本棚登録日 : 2013年10月3日
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