幾千の夜、昨日の月

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年12月27日発売)
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感想 : 86
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旅先での夜にまつわるエッセイ。ほとんどが二十代のころのお金のかからない海外旅行に関連するエピソードだった。

印象に強く残ったのは『出会うのは夜』という話。
高校三年生、十七歳の夏。林間学校で隣のベッドになったNさんとはほとんど口を聞いたこともなかった。まじそうな見た目、服装、髪型。Nさんは苦手なタイプだと思っていた。
消灯後、始まったお喋り。イギリスのロックミュージシャンに憧れて、イギリスの庭に惹かれ、ゆくゆくは造園業に就きたいと話すNさん。
Nさんを表する言葉は「まじめ」ではなかった。初めて徹夜した十七歳の夏。何かに出会うのは圧倒的に夜だ、というエピソード。

冒険や恋愛の話ではないけど、”十七歳の夏”という感じがして痺れてしまった。
まじめそうな人だって頭のなかまで「まじめ」とは限らない。他人のことを知ること。自分をしてもらうこと。夜通し話して分かり合うこと。
後になってからわかったのはあの時間が青春だったということ。

『17才』アイドルネッサンス
( https://www.youtube.com/watch?v=LMBo8dIXxQc )

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 角田光代
感想投稿日 : 2020年9月5日
読了日 : 2020年9月4日
本棚登録日 : 2020年9月4日

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