青の炎

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本棚登録 : 2090
レビュー : 277
著者 :
skmtさん 貴志祐介   読み終わった 

現在の日本において、人を殺すことは許されていない。

自分のためじゃない。家族を守るための殺人。
家に転がり込んできて妹と母に苦痛を与える、かつての父親には電気ショックで罰を。
殺人を知り、強請ってきた、かつての友人には狂言強盗を持ちかけ、ナイフで刺し殺す。

完全犯罪で家族を守ろうとした高校2年生。

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たとえばここが日本じゃなくて、ミサイルや爆弾が飛び交う戦争状態の地域だとする。そしてそこにいる彼らは家族や友だちや大切なひとを守るために戦っているとする。
誰かを傷つけたり排除する行為が、別の誰かのための愛だったりする。

戦争反対なんてことは皆思ってる。殺す相手にも大切なひとがいることも想像できる。できるなら殺したくない。
だけど、自分の大切なひとを守ろうとするとき、心に青い炎を灯し、危害を加える相手を排除する行為。これが愛じゃない、なんて誰が言えるのか。

難しい。
何が良くて、何が悪いのか。その道徳心は正しいのか。
すごく揺さぶられるけど、答えは出ない。


家に転がり込んできた元父親が余命わずかだったこと。
秀一をかばおうとした友人たち。
妹と母を想いトラックに飛び込んでいく秀一の気持ち。
そのトラック運転手にも家族がいるんだろうな、とか、何度も何度も揺さぶりをかけてくる話だった。

家族のために2人殺し、警察に追及された秀一の出した答えはトラックに飛び込むことだった。

正解だとは思えないけど、答えが何だかもわからない。
とても救われない話だった。名作。

レビュー投稿日
2013年11月4日
読了日
2013年11月2日
本棚登録日
2013年11月2日
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