うつくしい子ども

著者 :
  • 文藝春秋 (1999年5月1日発売)
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本棚登録 : 328
感想 : 71
5

9歳の女の子を殺したのは中学1年生13歳の弟。
少年法に守られる弟とメディアに晒されるその家族。
中学2年生の少年は罪を犯した弟の気持ちを理解するために、事件を調べ始める。
加害者家族と新聞記者の2つの視点による物語。

事件のモデルは明らかに酒鬼薔薇聖斗による「神戸連続児童殺傷事件」。
あの事件の少年Aも少年法に守られたはずだったが、今でもネット検索をすれば彼の本名と顔写真がでてくる。

小説の主人公は中学2年生の三村幹生、通称「ジャガ」。彼の弟が9歳の女の子を残忍かつ変態的に殺害し、逮捕される。激化するマスコミからの批判や見えない暴力を受けながらも、ジャガは分かり合える友人たちと事件の真相にたどりつく。

少年法とその報道、加害者家族の人権、性に対するコンプレックス、マインドコントロールなど問題提起が多い作品。

高校生のときに読んで以来、6年ぶりくらいに読み直した。やはりショッキングな内容。ドラマ『それでも、生きてゆく』もこういった加害者家族の苦悩を描いていたなと思い出した。

殺されたほうの家族は辛い、殺してしまったほうの家族も辛い。
酒鬼薔薇聖斗の弟の気持ちは誰も知らない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 石田衣良
感想投稿日 : 2012年12月12日
読了日 : 2012年12月10日
本棚登録日 : 2012年12月10日

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