映画監督、是枝裕和さんのエッセイ集。
フランスで取材を受けた際、死者について描こうとする理由を問われた是枝さんの、苦し紛れの回答が印象的だった。
「日本にはあなたたちと違って絶対的な神様がいないから、その代わりが死者なんじゃないの。ご先祖様に顔向けができないって言葉もあるし。恥ずかしくない生を生きるために”死者”という存在が必要なんだよ、きっと」(P40より引用)
思いつきで言ったそうだけど、死者を神様のように想う習慣はあるなあ、と共感した。生きていく上で、死者をいいように利用しているのかもしれない。
戸惑っているなら、戸惑ったままでもいい。
そういう気持ちで作品を撮っているのだと知って、余裕を持つことの格好良さみたいなものを感じた。明確な答えなんて用意しなくてもいいのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
是枝裕和
- 感想投稿日 : 2021年10月5日
- 読了日 : 2021年10月4日
- 本棚登録日 : 2021年10月4日
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