先日読んだ絵本『デューク』が素晴らしかったので、『デューク』が収録された短編集を読んだ。
(これは、ベストアルバムを聴いて、収録曲のなかから気に入った曲を選び、その曲が収録されているオリジナルアルバムを聴いて好きな曲を増やしていく方法に似ている)
どのお話もすこし不思議でロマンチックですこしセンチメンタルだった。自分が思っていた江國さんの印象とちょっと違う気がしたので調べてみると、初期の江國さんの作品ということだった。自分好みの雰囲気のお話ばかりだったから、この時期の江國さんの作品をもっと読んでみようと思う。
どのお話もとてもよかったが、ひとつ選ぶなら『僕はジャングルに住みたい』を推したい。
”小学校卒業を控え、サイン帖にメッセージを書いてくれと言ってくる女子たち。以前、他の生徒の分まで代表させて叱ったことを詫びる担任の先生。気になる女の子は私立の中学に行ってしまう。
恭介はジャングルに住みたいと思う。ほら穴で気になるあの子と一緒に暮らしたいと思う。”
ずっと前は持っていたのに、いつの間にか忘れていた昔の感情を思い出して、恥ずかしいような羨ましいような気分になれた。
十代前半の感情の起伏が眩しい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
江國香織
- 感想投稿日 : 2019年10月27日
- 読了日 : 2019年10月27日
- 本棚登録日 : 2019年10月27日
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