蟹工船 (スラよみ!現代語訳名作シリーズ)

  • 理論社 (2014年10月1日発売)
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現代語訳された『蟹工船』と小林多喜二についての解説。

『蟹工船』について。

劣悪な環境で数か月間働く労働者たち。そこは刑務所のように自由を奪われ、十分な栄養や休息を与えられずに死んでいく者すらいる環境。女に飢えた者は若い雑夫の体を求めた。脚気にやられ歩けなくなる者もいた。海に浮かぶ地獄。
ストライキも起こるが、労働者と雇用者の力関係は全く崩れなかった。


学生のころに『蟹工船』ブームが起こった。今、ネットで調べてみたら、”100年くらい前の労働環境と現在の労働環境が変わっていないぞ、まったく進歩してないじゃないか!”という皮肉を利かせたムーブメントだったらしい。なかなかやるなあと思ったが、当時、大学の先生が薦めていたこともあって、絶対に流行りになんて乗ってたまるかと目をそらしていた。なんであの頃、頑なになっていたのかわからないけど、この小説は働き出してから読んでよかったと思う。

現代社会の労働環境でもやっぱり、使う側と使われる側に分けられることは多い。意識しないだけでほとんど分けられると思う。
使う側に立つと、使われる側の人間に対して酷い言葉で責めたり横暴な態度で追い詰める人がいる。それはどうしようもないこと、と割り切ってもいいのかもしれない。でも、小林多喜二が100年くらい前に訴えたことが、全く改善されていない現代社会を悲しく感じる。
みんな同じ人間だし、ミスもするし、優しくしてもらわないとやる気も出ない。
もっともっと寛容な社会になるといい。現代は100年前から変われなかったけど、100年後には改善しているといいな。
「かつて労働者が尊敬されない時代がありました」と歴史の先生が教えてくれるような時代。どうかな。すこし共産主義っぽいかな。とりあえず、過労死とかパワハラはなくなるべき。
労働者は働くために生きてるわけじゃない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代語訳シリーズ
感想投稿日 : 2018年1月31日
読了日 : 2018年1月28日
本棚登録日 : 2018年1月28日

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