責任という虚構

著者 :
  • 東京大学出版会 (2008年7月30日発売)
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本棚登録 : 318
感想 : 28
5

素晴らしい本である。
難解な内容を素晴らしい文章で分かりやすく説明している。

責任とは何か。
ホロコーストから死刑制度、冤罪、ホッブズやルソーの考察など、歴史学・政治学・哲学・社会学・心理学と横断的な分野からアプローチしつつ、かつ主題を散逸させずに纏められている。
ホロコーストはどのようにして普通の人々により遂行されたのか、死刑制度に抑止力がないと証明されているにも関わらず廃止されないのは何故なのか、銃を撃って死んだ場合と偶然死に至らなかった場合で罰に軽重の差が出るのは何故なのか。
人や企業や責任を負うことはできるのか。そもそも責任とは何か。

最後の章では、伝統社会の階層制度もある意味では社会秩序維持の仕組みとして機能していることが書かれている。
平等とは何か。貧困削減とは何か。No one left behindとは何か。

読むほどに知的好奇心が刺激され、考えの糧を得ることができる。読むのに時間はかかるが、満たされる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月31日
読了日 : 2019年12月30日
本棚登録日 : 2019年12月14日

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