(*01)
昭和史の前半を綴る上で、甘粕はキーマンとなりうる。ただ甘粕については経歴が示すように正史には現れないため、怪人性などを纏って様々に語られ(*02)ていたように思う。著者は、甘粕本人の親族を始め、彼が関係した人々の遺族にもあたり、その実像らしき像を本書に描き出すことに成功している。
(*02)
引用や証言は多く、これらを本書の意図や時系列にそって構成し編集することは、伝記の著作とは別の行為であるかもしれない。バイオグラフィというよりは書類の集成という点でドキュメントに近い。全く同じ史料と材料で別の甘粕像を描き出すことは、あるいは可能なのかもしれないし、読者が読む時点で、甘粕の巨魁な誘惑に巻き込まれる事なく読み込む必要があるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
modern
- 感想投稿日 : 2016年2月20日
- 読了日 : 2015年10月27日
- 本棚登録日 : 2015年4月30日
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