箱庭図書館 (集英社文庫)

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本棚登録 : 3438
レビュー : 298
著者 :
ゆうだいさん 小説   読み終わった 

久々の乙一。ネットで投稿された小説を乙一氏がリメイクした短編集、という建て付けのため、確かにだいぶ毛色が違う印象を受けました。
とは言え、その毛色が異なる短編を1つの同じ街という舞台に集約して、互いにリンクさせる形で纏め上げた著者の手腕はさすが、と思いました。

本作で気になったのは、世界の「狭さ」。
著者の筆力は他の作品で知っているので、つまりは物語を紡いでいく観点で敢えて閉鎖的な世界にしたということか。どことなく鬱屈した基調で物語が進み、キャラクターも敢えてそこまで立たせないようにしたようにも思えてしまいます。
※「王国」も結局街を出たとは言い難いし、何より更に閉鎖的な場所なので。
その中で、最後の短編で「別の観点での外の世界」を出したことや、雪融けのシーンと組み合わせたことで、狭い世界からの脱出を示唆していた…のでしょうか。考えすぎかな。

リメイクするという試み、それ自体面白いとは思うのですが、それで小説がすごく面白くなったのかと言うとどうなんだろう、となってしまいそう。
著者の付加価値はしっかり付加されていたと思うのですが、結局元ネタと著者の方向性が合っているのかが大事で、最後の短編は合っていると思ったのですが、それ以外はどうなのか。

ちなみに、最初の短編の書き出しを踏まえると、著者の「普通漢字で書くところを敢えてひらがなで書く」書き方ってどういう意図なんだろうなぁ、と思いました。

レビュー投稿日
2019年9月16日
読了日
2019年9月16日
本棚登録日
2019年9月15日
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