チャヴ 弱者を敵視する社会

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レビュー : 39
ゆうだいさん なんとなく興味ある圏   読み終わった 

イギリスの労働者階級が、サッチャーの新自由主義以降にいかに保守層からの攻撃によって貶められてきたかを、20代の著者が解き明かし、糾弾した本。
著者の熱い筆致が400ページにわたって繰り広げられ、読みながらも何ともやるせない気持ちになります。

本著によると、サッチャー以降にイギリスに起きた出来事として・・・
・サッチャーが階級なんて無いんだよ、自己責任だよ、と主張
・労働運動を弾圧して、労働者層を中流階級に行けるそうとそうでない層に分断
・結果、意外に労働者層にも受けて、労働党がボロ負けして労働党も中流寄りの「ニュー・レイバー」に変化(サッチャーは、この敵の変節が自分の最大の功績だと言ったとか)
・労働者層の味方はいなくなり、賃金が下がり、仕事も補助金もなくなり、税金は上がる
・そこまで大きな影響じゃなかった移民の影響を取り上げたナショナリズム政党が躍進
というコトが起き、労働党何やっとんねん!とキレる事象にいたった訳です。

驚いたのは、「金持ちケンカせず」って言うと思うんですが、イギリスの富裕層はメッチャ労働者層にケンカ売って法人税やら所得税やらを下げにかかってきたところ。
著者は、法人税を引き下げて、貧困層に重くなる付加価値税(消費税見合い)を引き上げたことを「これこそ(富裕層から貧困層への)階級闘争だ」と表現していますが、そういえば思い返してみると、どこかの国でも同じようなコトをやってませんかね。。

電話+パソコンの普及がコールセンターを生み出し、人ではなく機械で構成される工場の拡大が工場労働者の消滅に至るこの流れ自体は、イギリスだけではなく世界中どこでも起こること。
なお、著者が文中に挙げたイギリスの平均年収は300万円台だったのですが、ネットで検索すると614万円という数値が出てきます。(ちなみに日本は429万円)
614万円は正規雇用者で、著者の数値が非正規を含む数値なのかなと踏んだのですが、日本も結局同じコトで、非正規の年収を検索すると200万円を切っていて、結局日本は既に上記のイギリスよりも悪い状況にあるように感じます。
強いて救いがあると思うのは、本著の末尾にもちょっと出てきた、格差を著すジニ係数をネットで検索してみると、イギリスよりも日本が「ちょっとマシ」な様子なこと。まぁ大して変わらないのですが。

本著を読んだ個人的な目的の1つとして、イギリスのこの状況は日本と比べてどうなのか、将来どうなるのかということがあるのですが、読み終わってみて、どうにも明るい気持ちにはなれなかったです。
敢えて言うと、日本では安部政権が労働者の賃金を上げようとしているというのはあります。(実際に上がっているのかは正直気がかりですが。。)
とは言え、本著を読むことで日本の将来を推測して暗~い気持ちになるのはあながち的外れではないのではないかと感じてしまいます。

ではどうするのか。富裕層ばかりが太る世の中の流れを止め、最低限の機会平等を実現するためにも、本著を読んで感じたことは「ちゃんと政治参加(投票)をすること」です。
正直、政治ができるコトなんてこの時代もはや限られていると思っていたのですが、本著がなぞったイギリスの流れを読むと、政治的影響力が弱まるとその層への徴税強化や補助金削減に繋がっていて、意外にあなどれない要素になると感じました。
適切な投票先は、ひょっとすると未来永劫産まれないかもしれませんが、それでもちゃんと選んで、投票に行って政治参加することが大事なんでしょう。

レビュー投稿日
2018年4月1日
読了日
2018年4月1日
本棚登録日
2018年3月27日
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