ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4825
レビュー : 456
著者 :
slow-futureさん  未設定  読み終わった 

太宰の人生における後期の短篇集です。

解説にあるように、前半に所収された作品群には、作家特有のユーモアが感じられます。しかし、後半へと移行するにつれてユーモアは影を潜め、すべてを終わらせてしまいたいという思いが滲み出ています。

表題作もいいですが、個人的には「桜桃」を推したいです。何よりも以下の一節に、どういうわけか納得させられました。

”私は議論をして、勝ったためしが無い。必ず負けるのである。相手の確信の強さ、自己肯定のすさまじさに圧倒されるのである。そうして私は沈黙する。しかし、だんだん考えてみると、相手の身勝手さに気がつき、ただこっちばかりが悪いのではないのが確信せられて来るのだが、いちど言い負けたくせに、またしつこく戦闘開始するのも陰惨だし、それに私には言い争いは殴り合いと同じくらいにいつまでも不快な憎しみとして残るので、怒りにふるえながらも笑い、沈黙し、それから、いろいろさまざま考え、ついヤケ酒という事になるのである。”

レビュー投稿日
2018年7月4日
読了日
2018年7月4日
本棚登録日
2018年7月4日
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