長谷川四郎 (ちくま日本文学全集 046)

  • 筑摩書房 (1992年1月1日発売)
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本棚登録 : 43
感想 : 7
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戦後に活躍した長谷川四郎という翻訳家、詩人、小説家の作品集。
村上春樹さんの『若い読者のための短編小説案内』で取り上げられている作家の一人だ。安岡章太郎、吉行淳之介、庄野潤三と読んできたがそのつづきだ。

「阿久正の話」が取り上げられていたが、シベリア物も読んだ。確かに土俗的な匂いがしない。寓話的であり、ファンタジーっぽい感じもする。ちょっとシュールだったりもする。ストーリーラインも良く分からなかったりするが、雰囲気がある。

で、「阿久正の話」。
戦後、自分を失ったかのような主人公阿久正の人となりの紹介みたいな話だ。
家を自力で建て、妻と二人で目立たず暮らしている。会社ではいるのかいないのか分からないような存在だが、仕事はきっちりする。

生きることに疑問を持っているような、そうでないような、超俗的な生き方をしている。村上さんは「遊民」だと表現しているがそのとおりかもしれない。
几帳面に生きており、無駄がない。そしてあっさりと事故で死ぬ。

こういうあっさりとした、というか恬淡としたというのかそういう生き方をしたいと思う。会社でもそうありたい。明日からの生活のモデルを見つけたような気がする。
しかしながら、俺の気質は余りにウェットだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2005年8月4日
読了日 : 2005年8月4日
本棚登録日 : 2005年8月4日

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