現代政治学入門 (講談社学術文庫 1604)

  • 講談社 (2003年7月11日発売)
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感想 : 28
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邦題の『現代政治学入門』でもよいが、原題の『What is Politics?』のほうが的確に内容を表している。
「政治とは何か?」というよりは「政治学とは何か?」という内容である。
本書はあくまでアメリカ式の「政治科学」ではなく、イギリス式の「政治研究」について述べているが、個人的にはこのイギリス式の方が親しみやすい。
読者想定を大学の新入生としているが、政治学を学ぶとはどういうことなのか、どういうアプローチをしていくべきなのかということを様々な角度から説明してくれている。
なので、手っ取り早く今の政治について知りたい人には向かない。
本書でも述べているとおり政治学は、「方向性」をもったり、「プログラム性」をもった学問ではなく、例えば、「哲学」「理論」「歴史」「経済」等の多くの事象と相互関係にある学問かつそれを自由に放浪する学問だからであるということがよくわかる。
これは丸山眞男が行っていた研究スタイルに近いというかほぼそのものであろう。
初版が1990年と多少内容的に古い事柄もあるが、政治学入門書としては十二分に耐える作品だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学問
感想投稿日 : 2015年3月7日
読了日 : 2015年3月7日
本棚登録日 : 2015年3月5日

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