〈癒し〉のダンス 「変容した意識」のフィールドワーク

  • 講談社 (2012年5月10日発売)
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1968年にアフリカのカラハリ砂漠で3ヶ月間行われたフィールドワーク。クン族の人々がヒーリングダンスを用いて、癒やしの力を共同体的にシェアし、病を治療するシステムについて、癒し手のインタビューや参与観察を元に書いたもの。
クン族の人々の癒やしの力についても一つ一つ興味深いのだが、最後にガツンとやられたのは、西洋の精神医療との比較をした著者の一言。


「地域精神科医は、地域で行われる共同的な癒やしの儀礼を、おおいに必要としている。クンの癒し手と比べ、彼らはとても脆弱な立場にある。地域の支援もなく、個人の力で疾患を治癒させることを期待されているのだ。これは失敗を余儀なくされる状況で、治療者と地域との間に反目を生み出すことも多い。変容の教育は、治療者と地域共同体が、おたがいに助け合い、支え合い、癒やしの諸問題をとらえなおすための方法を示唆している。」p418-419

今、『プシコ・ナウティカ』で「そうそう!」と思っていた「地域」の力について、こんなに昔からはっきりと書いていた人がいるなんて。

そして、同時期にそれらの本に出会うなんて。

ヒーリングの力を用いるにしても、それはひとりの個人の枠組みの中で得るものではなく、より大きな文脈の中の一部としての自己という位置取りをしないと生まれてこないのだということがはっきり見えてきて、とてもとても勉強になる一冊だった。なにより、人類学の本にしては読みやすい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年1月2日
読了日 : 2018年1月2日
本棚登録日 : 2018年1月2日

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