裏側からみた美術史 (日経プレミアシリーズ)

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レビュー : 13
著者 :
snow222さん 美術   読み終わった 

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読了:2011/12/23

う~ん、なんでだろう、面白くない。
語り方が偉そうなんだよなぁ。

そのわりに、エピソードの語り口は平板。カラヴァッジョの性格破綻っぷりなんて、全然伝わってこない。「へー、そういうことがあったんだ」で終わってしまう感じ。

また、p. 24にてこんなことを述べている。

「そもそも芸人というものは素行が悪くても許されるという風潮があった。多少、世間の常識とずれていても大目に見られるものであった。(中略)作家や芸術家も同じである。酒やドラッグ、女色に溺れ、借金を重ね、家庭を犠牲にして常に醜聞にまみれているのが当然という感覚なのだ。しかし、芸術家や芸人といえども、そうした無頼やアウトローは許されない世の中になってしまったのだろうか。」

この人が能天気にこんなこと言えるのは、自分が「犠牲にされる家族、女、関係者」になることなんて夢想だにしていないからだろう。

井上ひさしは、筆が進まないとき妻の顔を変形するまで殴ったという(三女の談)。作者の言葉は、井上が書けないときに「奥さん、あと二、三発殴られてください」と言ったという編集者と、何も変わりはしない。
自分だけ安全なところから、偉そうに「何でこんな世の中になってしまったのか」と言える傲慢さに腹が立った。

しかもその4ページ後では、「もの書きも俳優も、文章や舞台がすべてであって、私生活や人間性をそれと混同してはならないと思う。」と述べている。
作品と私生活は独立別個のものだというのなら、「芸術家の無頼やアウトローには寛容である」世の中である必要なんかないだろう。
「私生活がひどいからって作品まで貶めるな」と言うのなら、「作品が素晴らしいからって私生活まで称揚するな」と言うことだ。

要するにこの人の言っていることは矛盾しているのだ。p. 24で言っていることは、「素晴らしい作品を作っているんだから素行が悪くても大目に見てやれ」ということだ。それが、「作品と私生活や人間性を混同する」ことでなくて何だというのだ。


最後に、美術を扱う本として一番ひどいな、と思うのが、口絵はカラーだが、本編に挿入される絵は白黒、しかもコントラストなどの調整をまったく考えられていない白黒になっていること。このため、
 p. 85 伝レンブラント「黄金の兜の男」
 p. 86 伝ゴヤ「巨人」
どちらも黒くつぶれてしまって、全然良さが分かりゃしない。

さらに、言及だけされて載っていない絵も多いし。読んでいて面白くない。

レビュー投稿日
2011年12月23日
読了日
2011年12月23日
本棚登録日
2011年12月23日
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