シズコさん (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年9月29日発売)
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本棚登録 : 1042
感想 : 128
5

苦しい。
自分の心の汚いところ、目を逸らしたいところを、
これでもかと書こうとする佐野さんが痛くて。
それでも読み進めようとする自分は、この作品の外側の
人間なんだなと痛感します。

拒絶しながらも母を恋う。
自伝的なこの本から、佐野さんの強さ・優しさ・哀しさ
全て、透けてみえる。

神様、わたしはゆるされたのですか。
神様にゆるされるより、自分にゆるされることがずっと難しいことだった。
(本文中より)

母に対する自責の念から書かれた、一文。
肉親だからこそ、赦せなくて、それだからこそ赦される、
感情の揺れが、心にぐーっと入り込んできて、
最終章は、涙が止まらなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年10月2日
読了日 : 2011年10月2日
本棚登録日 : 2011年9月30日

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コメント 1件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/09/12

「ずっと難しいことだった」
率直な物言いの底にあるのが、こう言ったストイックさだと判る一文ですね。

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