北原白秋歌集 (岩波文庫 緑 48-4)

著者 :
制作 : 高野公彦 
  • 岩波書店 (1999年5月17日発売)
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本棚登録 : 208
感想 : 13
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北原白秋というと、真っ先に 「草わかば〜」「君かへす〜」の短歌を思い出します。

「君かへす〜」、何度読み返しても酔いしれてしまいます。あまりに好きなので冷静に分析することが出来ません。妄想をつらつらと…


雪を静かに踏む音にも、林檎を優しく咀嚼する音にも重なる、さくさくという言葉。一見軽やかで平和的な響きのように聞こえるのに。
林檎は爽やかなイメージと退廃的なイメージを持ち合わせる果実だと思います。ぱっと広がる香り、滴る透き通った果汁、けれども奥に潜む芳醇な蜜。成熟しきって腐り始めるころの、強烈に匂い立つこってりとした甘さ。若いころの甘酸っぱさをそっと潜ませながら。アダムとイブが誘惑に負け手を付けた果実であることから、禁断の象徴でもあるんでしょうね(無花果であったかもしれないけど)。二人の姿に重なります。
雪のあたたかなやわらかさ、容赦のない冷たさ、天使の羽のような高潔な白さ。
自然現象という原始的な部分は二人の犯した罪を優しく包み込んでくれ、または覆い隠してくれる。けれど厳しく眩い白はその罪を浮きだたせ冷ややかに非難しているようです。
敷石は彼女を居るべき場所へ連れ戻す道標ですね。二人を平和な場所へ戻してくれる。しかし二人を引き裂く。

耽美、退廃を何処までも追える歌だと思います。

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感想投稿日 : 2014年10月27日
本棚登録日 : 2014年9月30日

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