格闘する者に○ (新潮文庫)

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本棚登録 : 3833
レビュー : 578
著者 :
snowharpさん カテゴリ分けに悩み中   読み終わった 

新しい年の到来とともにリクルートスーツの若者があふれだした。
朝井リョウ氏の「何者」の受賞が就活シーズンにはタイムリーすぎて、まさか話題をあわせたわけではあるまいな、と思いながら、そういえばまだ読んでいない就活モノが積読岳のなかにあったな・・・と引っ張りだして読んだのが、この、三浦しをんさんの作品です。

漫画大好き大学生の可南子さんは、ボーナスがもらえる人生に憧れ、漫画漬けのサラリーマン生活を送りたい、と出版社に絞って就活中。
場慣れも必要だしな・・・と、出版業界以外には、社割の響きの心地よい百貨店だけ受けてみたりするものの、「平服でお越しください」の案内に対して、豹柄のブーツで説明会に行ってしまったり、スパイ試験を受けさせられたり(←SPI試験です)、とそれなりに活動してはいるのですが・・・

「就活ものだわ、悩みを共有したいかも」と無邪気にこの本を手に取った世の中の就活生は、なんじゃこりゃあ、と思うでしょう・・・

でも、出版社の面接のところは相当おかしかった。
明らかに、伏せ字の効力のない2社についての記述・・・これは三浦さんの実体験をもとに?  だとしたらよっぽどK談社では、いつか仕返ししてやるーこんにゃろ~と思いながら胸の奥でげんこつを固めていたのかなー、とか、角川・・・もとい、丸川書店のことは本当に好きだっんだろうなー、とか、ストレートな気持ちが伝わってきてほほえましいのです。

しかしこの時は情熱にまかせて(?)無邪気に書いてしまったものの、今や作家として、どの出版社とも程良い関係を保たなければならないだろうに、大丈夫なんでしょか・・・とよけいなお世話。

就活以外にも、可南子さんの年老いた彼氏のことや、家の跡継ぎ騒動、弟の家出に友達のホモ告白などなど、現代の若者をとりまく雑多な話題が盛り盛りな感じはしたけれど、踏み込みすぎずいい意味でさめた語り口のおかげで、さらっとおつきあいできました。
大学生ライフの躍動感ちゅうのはないけれども・・・

それにしても、三浦さんは登場人物のネーミングがほんと上手だなぁ、と思いました。
友人の砂子(すなこ!)なんて、ほんとに乾いててつかみどころのない、まさに砂っぽい感じのキャラだし、可南子さんという名前もまた、現代風すぎず、跡継ぎ問題で家族会議を開かなあかんような、重たい家の娘さんぽくて○(←ちょっとタイトルにちなんでみた)

レビュー投稿日
2013年3月5日
読了日
2013年2月5日
本棚登録日
2012年6月7日
2
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