切手帖とピンセット 1960年代グラフィック切手蒐集の愉しみ

著者 :
  • 国書刊行会 (2010年1月15日発売)
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本棚登録 : 145
感想 : 14
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この本はサブタイトルにもあるように、1960年代の世界のナイスデザイン切手を中心に、切手集めの愉しみかたを教えてくれる本なのですが、ブックデザインから内容までどこをとっても憎いぐらいの素晴らしい完成度になっています。

デザインは特に手が込んでいて、帯と本体を割り印するように押された消印の陰影(いかにもスタンプインクで押されたような、印刷には見えない印刷)。
表紙を外してみると洋書のようなかわいいデザインに赤い背中が効いている。(なんちゃって別布背表紙製本、だそうです)
扉をめくると挟み込まれているのはグラシン紙。
このような、随所に仕込まれたさまざまな仕掛けにもうひれ伏すしかありません。ブックデザインは祖父江慎さん。こんなに手が込んだ本を見つけることができたのは本当に嬉しかったです。

一方で、中身のほうもそれはそれは濃い!
可愛い切手やおもしろ切手、精巧すぎて怖い切手、そして素敵なデザインの消印などがぎっしりと。この1冊に紹介されている切手の数はなんと1154枚だそうです。
正直、この一冊があれば自分で収集しなくてもいいのでは?という気にすらさせられてしまいます。

そして、各ページに添えられたテキストの細かさにはひたすらびっくりです!普通なら欄外の脚注にでも使われていそうな極小文字でぎっしりと、切手の絵柄紹介やその切手を入手したときの喜びなどが綴られています。

郵便にまつわるエピソードや切手収集愛好家の有名人によるコラムも楽しくて、切手ミュージアムを一館持っている、この本があればそんな気分に間違いなくひたることができます。

特にわたしがつぼだったのは、「なんだか気になる切手集」のページ。そんな絵柄を真剣に発行するかな?というようなおもしろ切手の行進に、もうおかしくて腹がよじれそう。

中身があまりにもぎゅうぎゅう詰めな1冊のため、何度読み終わっても読みきった気がせず、また、はじめから読みたくなってしまう。お値段は安くはありませんが、いつまででも楽しめるという点ではこんなにコストパフォーマンスの優秀な本、なかなかないでしょう!
著者の加藤さんのあとがきの中に、この本の出生の秘密が明かされているのも興味深いです。「カワイイ切手の本」とだまして企画を通し、そのあとは暴走によりこの一冊をここまで仕上げたのだそうで、この本に関わった方々の切手への惜しみなき愛とともに、丁寧に本を造りたい、という真剣さが詰まった1冊です。

【2010.12.25 Blogより。】

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 〒手紙と切手と郵便局〒
感想投稿日 : 2012年7月22日
読了日 : 2010年12月28日
本棚登録日 : 2010年12月28日

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