坂口安吾氏の作品は、私にとってはあまり共感できないことが多いのですが。この作品は意外といってはなんですが、心に沁みました。
戦時中や空襲の混乱の中、思ってもみない人と思わぬ関係に落ちるという話は、このへんの時代の作品でよくお目にかかります。
たぶん、心理学的にはなんとか効果っていう名前がついているような事柄なのでしょうけど。しかし、往々にしてそういう一瞬のほうが生涯心に残ったりするのでしょう。
瞬間を切り取るから美しいということではないでしょうか。
追記;
「桜の木の下」でもそうですが、男性には通常の女性より、こういった現実離れした女性にどうしようもなくはまってしまいたい、という欲求がどこかにあるのではないかと考えています。
年とってくるととくに男性のほうは「自己破壊欲求」女性の方は「他者破壊欲求」がでてきて、両者が出会うと、渡邊淳一的な世界になってしまうのではないでしょうか。
読書状況:読み終わった
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それなりブックガイド
- 感想投稿日 : 2017年9月22日
- 読了日 : 2017年9月22日
- 本棚登録日 : 2017年9月22日
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