「芸術起業論」村上隆
■なぜ日本人アーティストで世界で通用する人が少ないか?
→欧米の芸術のルールを踏まえていなかったから。
→だから、欧米で勝負するために欧米アートの構造をしつこく分析した。
→仮説と検証の連続、マネジメントの技術も磨く
■一流の作品とは、理解される窓口の多い作品
・価値は偶然から生まれる。運に翻弄される。
→だから窓口を増やす必要がある。
■価値の違いを乗り越えてでも理解してもらうという客観性こそが大切。
・芸術作品は自己満足であってはならない。
・価値観の違う人にも話しかけなければ、未来は何も変わらない。
・本来なら分かり合えない人たちと、どう深く濃く交流していくかを考えねばならない。
■芸術には開国が必要
・日本の「芸術」の定義はあいまい
・世界の価値は「その作品から歴史が展開するかどうか」
→欧米の美術の歴史に文脈を作るなら、徹底的な学習が必要
■世界で評価されない作品は意味がない
・作品に部分的なきらめきがあっても欧米の美術史における文脈付けが弱ければ、外国に渡っていくパワーは全然不足している。
★西洋の評論の基盤の強さ
・日本文化も日本人の事もそれほど知らなかった西洋の美術評論家が、「西洋化された日本人のオリジナルコンセプト」と知るや否や猛烈に学習し、そして、むしろ日本人評論家よりはるかに鋭く分析的に批評をする。
★個人の歴史の蓄積をブランド化する方法
・今の芸術の中心はアメリカ、世界に挑戦するならアメリカで商売する基盤を考えなければならない。
・日本人としてのアイディンティティはあるが、外国の現場での渡世方法は「別物」
・白人から忌避される黄色人種である現実を知るべきだし、欧米美術界の中ではサーカスのピエロのような存在、猿回しのサル的な位置づけである事実も把握する。
★欧米の美術における決まり
・自分自身のアイディンティティを発見して、制作の動機づけにする。
・欧米美術史及び自国の美術史の中で、どのあたりの芸術が自分の作品と相対化させられるかをプレゼンテーションすることも重要
→決まりを踏まえたうえで斬新なイメージを見せると優良な現代芸術が誕生。
→決まりを踏まえなければ、ルール外の「物体」
・「欧米の美術の世界特有」のルールを導入して作品を発表する。自分自身のアイディンティディを調べる。
【例】
大衆芸術である浮世絵や漫画やアニメ・ゲームの日本美術史の中での関係を把握して、
西洋的美術の移植に失敗した日本ならではの出来事にも言及していく。
その上で、日本独特の文化体系を、欧米美術史の文脈に乗せる。
という、西洋アート世界との決定的で新しい接触をすればよかった。
★個人の持つブランドを商品にする
・自分の●●年の歴史に、最近300年ほどの日本の美術の歴史の文脈を用意周到に関連付ける。
★交渉とは
・自分が得したいなら、相手も得するような提案をすべきだろう
■日本人の芸術が世界に通用していなかったわけ
・文脈の設定に対する理解不足と、人間と人間の勝負の瞬間に弱かった。
★作品を通して世界美術史における文脈を作り上げることは、今も世界における美術作品制作の基本であり続けている。
・西洋の美術の世界で、最初に認められた日本人美術家は葛飾北斎
★日本文化の潜在能力に自信があれば、尚更、まだまだ弱い日本人の伝達能力を身につけなりません。
「文化の精神性を説明」などというとわかりづらくて拒否されるのではないかと、われわれ日本人は思いがちですけど、そうゆうところを徹底的に伝えることが、案外、現代の美術の世界においては大切な仕事になる。
★欧米のトップの美術批評家は、時代の基準をきちんと作る。
だからこそ、芸術という非論理的なものに興味を持ち「わけのわからないものを論理で語る」ことに挑戦できる。
■歴史を勉強するとどんどん自由になれる。
・芸術の世界だけでなく、どの業界にもどの分野にも特有の文脈があり、
「文脈の歴史の引き出しを開けたり閉めたりすること」が、価値や流行を生み出す。
★美術のルールを読み解く方法
・歴史を学ぶ。
・好きな作品や、好きな作家のたどってきた系譜をしっかり勉強するだけで、かなりの事が見えてくる。
→自分の探さなければならない歴史がまずわかる。
→わかったら実際に歴史を読み解けばいい。
→そうすれば、美術のルールはすぐに理解できる。
→自分のひかれているものを読み解くと、欧米の美術のルールだけと言わず、自分の動いているルールそのものも掴めるはず。
- 感想投稿日 : 2021年7月27日
- 読了日 : 2021年7月13日
- 本棚登録日 : 2021年7月13日
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