人間以外の動物は、進化と言うゆったりした過程をたどって変化し、住んでいる環境にぴったり適応する。しかし人類は逆に、自分たちの当面の目的に便利なように環境を変えた。人類は進化とは無関係に生き続け、急速に発展した。その文化は遺伝子の力を借りず、学習によって次の世代へ伝えられた。人類は、自然選択の厳しい判決に従わずに生きた。しかしそうすることによって、自然選択のもたらしてくれるはずの長期的な恩恵を拒否し、自らの進化を停止させる結果を招いた。後に残ったのは、たったひとつの個体群である人類が、自ら意図的に人口調節を行わない限り、生存がおぼつかないほど人間で溢れている世界、そして人類の廃棄物で醜く汚れてしまった世界であった。
そしてついに、農業、工業、科学などに必要とされる資源が絶える日がやってきたのである。資源の欠乏により、1つの社会機構が崩壊すると、それが次の社会機構の崩壊を尾引寄せる引き金となる。複雑に関連し、依存しあっていた人類の社会組織、その巨大な技術組織は崩れ去り、適応力を完全に失った人類は、絶滅の一途をたどった。
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- 感想投稿日 : 2017年9月3日
- 読了日 : 2017年9月3日
- 本棚登録日 : 2017年8月24日
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