≪そんなとき、それらの出来事は、文字通り昨日起こったばかりのことのように感じられる。音楽にはそのように記憶をありありと、時には胸が痛くなってしまうほど克明に喚起する効用がある。≫
何かの理由で、「女」を失ってしまった男たちの物語。
最近、割と小説以外のものを読んでいたので、小説(中でも村上春樹の小説)を読むのはとても久しぶり。「海辺のカフカ」以来な気がする。(この本も、実は最初エッセイ集だと思っていて、読み始めてから短編小説集だと気付いた)
久しぶりに読んだけれど、村上春樹の文体は健在。
「イエスタデイ」で
≪決めの台詞を口にしすぎることも、僕の抱えている問題のひとつだ。≫
と主人公である「僕」が(心の中で)言っていたけど、決め台詞になるような言葉が本当に多いと思った。
最初さほど面白いと思わなかったのだけど、読み進むにつれて心を惹かれるようになったのは「独立器官」。穏やかに、独身を謳歌しているかに見えた医師が、あんな運命を辿ることになるとは…、と少し重い読後感に衝撃を受けた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
Novel
- 感想投稿日 : 2016年11月27日
- 読了日 : 2016年11月27日
- 本棚登録日 : 2016年10月17日
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