有田川 (角川文庫 緑 262-3)

著者 :
  • KADOKAWA (1967年12月1日発売)
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本棚登録 : 36
感想 : 1
5

有吉佐和子の「川もの三部作」の一つ。
川に生まれ、川と共に生きた女性の一生を追体験するような作りになっており、有田地方の独特の方言は、読み手にごく自然に情景を思い浮かばせる。
自分の運命をあるがまま受け入れ、健気に生きていく主人公・千代。強さも弱さも併せ持つ彼女の視線の先には、いつも有田川の穏やかな、けれど時に厳しさを見せる流れがあった。

この作品では川に翻弄される千代の運命がテーマだが、主人公の成長とともに変化していく周囲の環境にも注目したい。時代の移り変わりと共に、有田みかんは栽培法や出荷法(舟から鉄道へ)を新しくさせ、缶詰への加工事業を切り開いていく。
また作品に大きな転換をもたらす二つの祭りもポイントだ。糸我の会式と千田祭りは時世を色濃く反映し、千代の心境とは正反対の様相を見せる。有吉佐和子の筆力には感嘆する。

個人的には川守貫太の男臭さがオススメ。惹かれてしまった千代の気持ちも分かる!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛
感想投稿日 : 2010年3月12日
読了日 : 2010年3月12日
本棚登録日 : 2010年3月12日

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