幼少の頃のトラウマにより「時を巻き戻す儀式」をしなければ愛する家族が死んでしまうという強迫性障害に囚われていたエド。
家族も、周囲の人も、そんなエドをどうすることもできない。
強迫性障害の治療で目覚しい成果を上げていた医師マイケルは、エドの家族からの依頼で、エドの治療を始める。
(以下ネタバレあります)
どんなにつらい状況にあっても、どんなに酷い行動をとっても、「それは病気のせい」であり「本心は異なる」と、周囲が認められるのが凄い。許容ではなく理解。(エドと話をするゆとりがない場合は、きちんとその旨を言って、断ることが出来る)
強迫性障害という病気は、薬だけでは治らないこと。
医師の力の及ばなくなった時に、エドがマイケルのために治したいと思い、折り合いを付けて病気と向き合っていくこと。
このくだりは凄いなぁ……。
医師が全力を尽くして、無力だと感じて、患者の前で泣いてしまう。
患者はそれを見て「自分が医師のために頑張らないと」と決意する。
患者が考えに考え抜いて、病気を観察し続けて、立ち向かう。
まるで作り事のような展開の作品だが、後半の困難との顛末などを見れば、周囲に居るのもいい人ばかりではなくほっとする。
著者がテレビプロデューサーということもあり、ドキュメンタリーで映像化したら、もっと凄いのだろうと想像させる。
また、著者の子供に対する気持ちも投影されているのだろうと感じた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2010年6月17日
- 読了日 : 2010年6月17日
- 本棚登録日 : 2010年6月17日
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