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エドウィン・ダンの妻ツルとその時代 (道新選書)
- 阿部三恵
- 北海道新聞社 / 1995年9月発売
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開拓使の農事方教師として活躍したエドウィンダンの妻について、様々な資料から探っていったドキュメンタリー。
男性的な視点で描かれる開拓物語とは異なる、生活に密着した視点での開拓時代の物語。開拓使のスタートから、活躍したお雇い外国人の妻の視点から、明治政府、開拓使、米国、英国など、様々な利害関係者の姿が浮き上がって見える。
2015年12月19日
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シャボン玉 日本 迷走の過ち、再び
- 野坂昭如
- 毎日新聞社 / 2014年9月17日発売
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戦争の記憶から
幼い妹を連れ見知らぬ土地である。何もない。死の前では皆平等だった。が、死が遠ざかるととたんに差が生まれる。
火垂るの墓をアニメで見たとき、サクマドロップの缶が強烈な印象となった。
2015年12月19日
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塩狩峠 (新潮文庫)
- 三浦綾子
- 新潮社 / 1973年5月29日発売
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明治の末(明治42年)に実際にあった鉄道事故をベースにした小説。
一人の青年の成長とキリスト教との関係が、様々な人間関係をもとに描かれている。物語の展開はさすが三浦綾子と思わせる内容で一気に読んでしまった。
事故か犠牲かは分からないが、この人がいた事は事実。
2015年12月12日
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夢のサムライ―北海道にビールの始まりをつくった薩摩人=村橋久成
- 西村英樹
- 文化ジャーナル鹿児島社 / 1998年7月発売
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北海道にビールの始まりをつくった薩摩人 村橋久成の物語。
2015年12月6日
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石狩平野 (1967年)
- 船山馨
- 河出書房 / 1967年発売
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明治の開拓期から太平洋戦争終結時期までの一人の女性の人生と時代背景が壮大なスケールで描かれている。久しぶりに本から手を離せなくなる経験をした。
とりわけあの時代、人々がなぜ無謀な戦争へなだれ込んで行ったのかが、家族の物語とともにわかりやすく書かれている。
その中で、無知であることを装う卑怯さ、流れに身を任す狡さが主人公の筋の通った発言との対比で明らかに語られている。
北海道を知るために読み始めたが、久しぶりに本を読むことを堪能した。
2015年11月9日
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花埋み (新潮文庫)
- 渡辺淳一
- 新潮社 / 1975年5月28日発売
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久しぶりに本を置く手をためらったくらい面白かった。北海道の物語を探しているうちに出会った一冊。日本初の女医としての様々な苦労と、それに立ち向かう勇気に背筋が伸びる思いがした。
いろいろな分野でこうした女性たちが活躍してきて今日の自分たちがあるが、未だに女性の活躍をと言われる現状にはなんだかうんざりするものもある。
後半、北海道開拓に臨む部分からはそれまでのキャリアを惜しむ声も多くあるだろうが、様々な人々が今の北海道を作ってきてくれたことに感謝。良い本に巡り合った。なんとなく敬遠していた渡辺淳一だが、興味深かった。
2015年10月29日
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あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)
- 島田潤一郎
- 晶文社 / 2014年6月27日発売
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この本は札幌の書店くすみ書房さんの会報誌「くすくす」の紹介で出会った。多分、そんな出会いがなければ手に取らなかったかもしれない。作家を目指していた若者の出版社スタートにまつわるあれこれを書いたドキュメントのようだが、決して起業物語ではない。本を読むということ。そのことを通して見えてくる世界をこの上なく大切にしている作者の姿勢が好ましい。
本を読むということについて、次のように書かれている。
つまり、「私」の言葉とは違う、誰かの言葉を、その文章を、一所懸命、読み続けること。その言葉で、世界をもう一度、体験すること。思い出すこと。それが、文学の一番の魅力であり、おもしろさだと思う。
すばらしい作品を読んだ後、世界は、これまでよりも鮮やかに見える。人々は、よりかけがえのないものとして、この眼に映る。
読み終えてみると、以前「くすくす」で手に入れた「昔日の客」はこの出版社、夏葉社のものだった。
本を手に入れる時、以前は書店がその出会いの場だったけれど、インターネットの時代になってからどんどん書店はつまらなくなってきたと感じていた。そのなかで、くすみ書房は本棚に主張があり、読んで欲しいというメッセージが伝わる書店だった。昨年、経営の危機があり、ネットでの呼びかけで「くすくす」の会員になり、そのおかげでの出会いだった。
本は好きだけど、どうやって良い本に出会うのか?
出版社の「売りたい、売りたい」というマーケティングが見え見えの本ではなく、読むことでこの世界の見方を鮮やかにしてくれる、そんな本の出会いを大切にしていきたいなあと、改めて思った。「くすくす」ありがとう。
2014年12月20日
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日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社+α新書)
- 深尾葉子
- 講談社 / 2013年4月22日発売
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あっという間に読める。
いるいるこんな人と思いながら読んでいた。
先日、ある所であった女性が「夫はATMだから」と普通に話していてびっくりした。
2013年12月12日
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ラブレス (新潮文庫)
- 桜木紫乃
- 新潮社 / 2013年11月28日発売
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舞台が標茶、釧路という設定なので懐かしい風景が目の前に広がるように感じた。
貧しい開拓農家の姉妹を描いた作品だが、描かれる女性達がそれぞれに納得した人生を自分で選び取っているように感じた。
厳しい状況だが、女性達の力強さや潔さを感じる。
直木賞作家の本と言うことで手に取ったが、一気に読ませる筆力がある。北海道と言う設定も手に取った理由のひとつ。
2013年12月12日
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ひろいもの (小学館文庫)
- 山本甲士
- 小学館 / 2013年1月4日発売
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読んでいると、気持ちがスッキリとしてくる。作者の人に対する視点が暖かい。
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結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)
- 小倉千加子
- 朝日新聞出版 / 2007年1月1日発売
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昔読んだ本だけど、作者の毒が心地よい。
結婚は金と顔の交換というのは、なるほどね。
最近の女性達も余り変化はないかも
2013年11月10日
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ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく
- 堀江貴文
- ダイヤモンド社 / 2013年11月1日発売
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kindleが届いて、最初に買った本。
予想通りのないようではあったけど、良かった。
勇気が出る。
2013年11月10日
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コリーニ事件
- フェルディナント・フォン・シーラッハ
- 東京創元社 / 2013年4月12日発売
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新人弁護士の法廷物語と思って読んだが、全く異なった内容だった。中盤からは一気に読ませる筆力は凄い。読後感は結構重い。この小説がきっかけで、ドイツの法制度についての検討が始まったということ。作者自身がナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。戦争の記憶はまだまだ消えてはいないと事実。読んで良かった。
2013年10月21日
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横道世之介 (文春文庫)
- 吉田修一
- 文藝春秋 / 2012年11月9日発売
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なんだかほっとする感じの小説でした。登場人物の個性がそれぞれに特徴的に描かれていて楽しく読み進められました。
心に残った言葉。
p402
大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないかと思う。
くすみ書房のオススメ本
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新装版 槍ヶ岳開山 (文春文庫)
- 新田次郎
- 文藝春秋 / 2010年3月10日発売
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槍ヶ岳に登るにあたって読んでおこうかなと思い手にした一冊。登山の方は8月に登頂したが、本の方はなかなか進まずやっと読み終えた。山小屋にあった開祖播隆上人の物語。頂上にあった祠を作り、安全登山のための鎖を設置したという。
心に残った部分
「ただ念仏を唱えるだけでは極楽へは行けない。一心不乱の境地になって念仏を唱えないと極楽には行けぬ。一心不乱になるために山に登る.困難に立ち向かう。一心不乱とは自分の力だけで求めることの出来る境地だ。」
2013年9月9日
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垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)
- 山野井泰史
- 山と渓谷社 / 2010年11月1日発売
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クライマー山野井康史さんのエッセイ
沢木耕太郎の「凍」のモデル。
名誉や名声ではなく、真摯に生きることをたんたんと続けている。パートーの妙子との関係も爽やかに描かれている。
山に登ることのヒリヒリするような感覚が誠実に書かれていて、感動した。とりわけ第七章 生還は、息詰まるような困難な下山の様子に改めて感動した。
心に残った言葉
下降するにつれて緊張感が緩みだし、同時に悲しさが湧いてきた。...,,.,.
はたして人は大きな夢を現実にした瞬間が最も幸せと言えるだろうか。僕は上に向かって前進しているときが、一番幸せのようなきがしてならない。
2013年8月9日
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神々の山嶺(下) (集英社文庫)
- 夢枕獏
- 集英社 / 2000年8月18日発売
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エベレストのヴァリエーションルート初登頂に挑む男の物語。伏線としてマロリーのカメラの話があったり、友人の妹とのラブロマンスがあったり、エンターティメントして楽しめる一冊。
久しぶりにワクワクしながら、ページをめくるのがたのしかった。厚い文庫2冊だが、あっという間に読んでしまった。
読みながら、以前テレビで見たアフリカの放浪ライオンのイメージが湧き出てきた。ライオンの群れは、男の子が生まれるとコミュニティから放出するという。そして、放浪ライオンとなり、戦いに勝ったものだけが次の世代を残すオスライオンとして生き残れるという。一番でなければ価値がない。簡単なルートを登るなんて、意味がない。という価値観は、なんだか放浪ライオンのしっぽをつけた人間のように感じた。ただ、動物の雌としては、こうした強さを追求する雄は極めて魅力的である。遺伝子を運ぶ乗り物としての魅力に満ちていることなのだろう。羽生という主人公は実際のモデルがいる。
2013年8月3日
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不格好経営―チームDeNAの挑戦
- 南場智子
- 日本経済新聞出版社 / 2013年6月11日発売
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DeNAを創業した女性のワクワクするようなビジネスストーリー。同時期に発売されたシェリルサンドバーグとの決定的な違いは、子供がいないことか。
高い能力を持った一人にビジネスマンの起業ストーリーとして面白かった。
仕事上での様々なトラブルや、仲間とのやり取りはビジネス書としては参考になることも多い。仕事をする上で、自分が女性であることを余り意識せずに来たように書かれている。ただ、夫の病気が原因で突然社長職を辞したという経緯は、ニュースとして大きく報道されたこともあり興味深かった。
2013年7月27日
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LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
- シェリル・サンドバーグ
- 日本経済新聞出版社 / 2013年6月26日発売
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TEDのスピーチを見て共感を覚えていた女性の本だった。facebookのCOOというキャリアと母親と言う役割の中で普通に悩んでいる等身大の女性の姿が、様々なデータを基に分析されていて一気に読むことが出来た。キャリアを左右する最も重要な要件=パートナーというのは同感。自分自身を振り返っても、パートナーの励ましが仕事を継続することへの大きな活力となってきた。対等なパートナーを望むのなら、女性自身も自らの考えや行動を見直す必要がある。彼女の夫の生育環境、とりわけ母親の価値観が結果として大きく影響しているように読み取れた。
次の世代の女性達へ、仕事も家庭も楽しむためのたくさんの示唆に富む本。
2013年8月8日
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そして謎は残った―伝説の登山家マロリー発見記
- ヨッヘン・ヘムレブ
- 文藝春秋 / 1999年12月発売
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そして謎は残った
伝説の登山家マロリー発見記
マロリーの遺体発見までのドラマ。
1924年6月21日、エベレスト登頂を目指して、最後の頂上アタックでこつ然と姿を消したジョージ・マロリーと、サンディ・アーヴィン。
これはマロリーの登頂の謎を追いかけた若き登山研究家ヨッヘン・ヘムレブと、調査遠征隊を組織したラリー・A・ジョンソン、そしてエリック・E・サイモンスンによる1999年のマロリー遺体発見への探索の物語。
結果、75年ぶりにマロリーの遺体は見つかるが、はたして登頂したかどうかについては判明はしない。
最後の文章が心に残った
結果、「2人は登頂したか?」という質問に対する回答としては、もう一つ質問を重ねるほかないだろう。「それが貴いことか?」と。何より貴いことはー私たちの注目が当然であり、私たちの畏敬が当然なのはー2人が、与えられた諸条件の中で、あれだけのことを成し遂げたことであり、2人の驚くべき体力と度胸、おのれの希望に対する不屈の精神なのである。
1924年6月8日に世界の最高峰に2人が登頂したかどうかというより、そのことこそが、ジョージ・リー・マロリーとアンドルー・カミン・アーヴィンの物語を貴いものとしている。
今日から考えると、信じられないような状況の中でエヴェレストを目指した彼らの勇気と体力に心が打たれた。
その後、エヴェレスと登頂は1953年エドモンド・ヒラリー卿によって達成される。
困難な壁に全力でぶつかって行った時、初めて自分の力を感じることができる。
それに、すべてがわかっており、まった
く安全だと言うなら、のぼる必要がない。山野井泰史。
2002年8月、ギャチュンカン(百谷雪嶺)北壁へのクライミング。妻の妙子と二人で挑んだ登山のドキュメンタリー。
結果、妻の妙子は両手の指を凍傷ですべて失った。泰史は指を5本。足の指も切断することになった。
その後、少しずつトレーニングを重ね、2005年、中国ボタラ峰北壁の初登頂に成功する。
困難にぶつかった時、自分の力を感じるというのに共感。
とても清々しい夫婦のあり方にも共感を感じた。
2013年7月30日
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山なんて嫌いだった (ヤマケイ文庫)
- 市毛良枝
- 山と渓谷社 / 2012年1月20日発売
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山の道具を買いにいった好日山荘の本棚でであった一冊。思いがけず山に魅せられていく一人の女性の山と仲間達との素直な交流が清々しい。田部井さんとの交流の中で出てきた言葉が心に残った。「やりたいと思ったことはやればできるの。やりたいのに出来ないと言っている人は、本当にやりたい訳ではないのよ。」「私の人生の大当たりは夫」活躍している女性の後ろにはいい男がいる。自然の中で素直に生きている仲間達の姿がとても清々しい。
冒険家 九里徳泰、美砂夫妻
田部井順子さん
市毛さんの感じている日常生活にも新鮮な思いを感じた。
2013年7月25日
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ある心臓外科医の裁判 医療訴訟の教訓
- 大川真郎
- 日本評論社 / 2012年9月20日発売
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医療過誤の事例についてはマスコミでセンセーショナルに取り上げられることが多い。被告側教授の弁護士という立場からの出版なので、その点は斟酌して読む必要があるかもしれないが、訴追されてから約八年の月日が流れ、結果として、全ての裁判に勝ったとしても、社会的な信用や専門家としての地位は毀損されたままであるという現実は重い。人間の心の弱さと強さを感じながら、一気に読み進んだ。
2012年11月28日
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食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探究の書 (RHブックス・プラス)
- エリザベス・ギルバート
- 武田ランダムハウスジャパン / 2010年8月10日発売
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2012年9月2日