MAMA (電撃文庫)

3.92
  • (230)
  • (212)
  • (239)
  • (18)
  • (4)
本棚登録 : 1623
レビュー : 195
著者 :
制作 : カラス 
二ノ宮さん ファンタジー   読み終わった 

・サルバドールの落ちこぼれ、トト
・「兄さんと妹と死ぬまで一緒にいなくちゃいけないらしいわ」




■1章
pp1-73
サルバドール一派の愚かなる劣等生トト。彼女は生来の才能の無さからそうした恥辱に甘んじていた。ついにはサルバドールから追放される、という話も持ち上がる。
「もう魔法などできなくてもいいのよ」と言って欲しかった母にも、望む言葉はかけてらえず癇癪を起こしてトトは走り出す。

行く先には一族に伝わる禁書の棚。その最奥、封印された鍵を壊し、敢えて扉を開いてしまうトト。暗闇に確かに息づく魔物が彼女の耳だけを攫っていく。倒れる直前に彼女は水色の玉を見る。それは魔物の瞳なのである。


目覚めたときには、普段の朝ではなく、族長までも集まっていた。彼が言うには「魔物が耳を持っていった。魔力の残滓がお前の耳に宿っている。」とのこと。残る魔力のためか、魔物に呼ばれたつもりになってしまうトトは再び封印の扉に向かう。魔物を見据え、彼女は名を授ける。こうして、彼女は人食いの魔物をホーイチとして使い魔にしたのである。
「一緒に行こうよ」


一族に連れられ、処罰を待つ。もう、家族を見る気にはなれないトト。けれどもう彼女の影の中にはホーイチがいるのである。


p77「ご期待に応えて出てきてやったよ。拍手はまだかな?」


■1章
pp1-73




2018/06/12
外交官になったトト。やはり耳の力が凄まじく、疎まれることもある。一方で、王家の末娘とは仲良くなる。



2019/05/23
武人だと名乗る旅の男、ゼクン。そんな彼を気に入らないと言い切るホーイチ。けれどもうトトは彼のことをそう忘れられそうにない。

そんな中、幾重にも襲いかかる敵魔術師。その中にガーダルシアの術式をみつけ、トトは父母に詰め寄る。トトは自信が時期尊師候補に挙げられていることをしるのであった。


衰弱するホーイチ。襲いかかる敵。ついにはゼクンは破れ、トトは倒れる。
目が冷めたトトは周りに多くの人の気配を感じる。孤独だと思い込んでいたのはいつからだったか。自分はホーイチにすがって目を閉じていただけではなかったのか。。。
そんなトトにホーイチは耳を返した。


ホーイチは虫の息のゼクンにいう「勝負をしようか、傷の男」
ホーイチの真意はここにあった。ゼクンに飲まれ、消えてなくなることを承知していたのだった。
やがて、時は経ち、トトは子供を授かる。その子は両親にはまるで似ておらず、目元に3連のほくろをもつ、浅黒い肌の子であったのだった。


END
■外伝
AND



ダミアンは過去に、そのやり方の効率の悪さを指摘されてはいた。しかし、貴族の家や宮殿に忍び込んで盗みを働くことは大変に肌にあっており、ガーダルシアの宮殿が今回の狙いであった。

黒い蝶々。王の娘に部屋で出くわすのは失態では会ったが、彼は赤い耳飾りを手にする。
その品にどうにも不気味さを覚える彼は、すばやく店に預けてしまい、家路についた。


彼には妹がいる。人には見えないものが見える、と噂される一方で、彼は妹の虚言癖をもしっていた。
次の朝、耳飾りは再びダミアンの手の中に会った。




2019/06/04
夢がダミアンを苦しめる。
耳飾りは、ガーダルシアの魔物最初の犠牲者のものであった。
夢が彼を東へゆけと導くのであった。
孤児院を二人が旅立ったときのように、妹ミレイニアはまたダミアンに寄り添っていた。



2019/07/08
ダミアンの苦しみは常軌を逸していた。
魘され、発熱し、果には喀血似まで至る。
それを目にして心を痛めるミレイニア。
振り返れば、彼女の人生はその霊視によって振り回されていた。親に捨てられ、サーカスに捨てられ、売春宿を逃げ出した。そんな彼女の異能に「虚言だ」と救いをもたらしたのがダミアンであった。
霊視の嘘、兄弟の嘘。嘘では会ったがそれは彼女をどこまでの救っていたものであった。


耳飾りの妖しい力に、其の晩もダミアンは寝ながらにして苛まれる
もがき苦しむダミアンを前に彼女はいう。
「------好きになった人の一人くらい、私だって守るのよ」(pp.255)
ミレイニアは耳飾りに手を重ねた。


ミレイニアの力は耳飾りのそれを抑えたのだった。
「この旅が終わったら、またリュートを弾いて」
「泥棒と占い師もいいけれど、そんな兄弟もきっと、悪くはないわ」それには虚言だと言わぬダミアン。

ついに二人は街にまでたどり着く。目立ての家の家主は不在であったが、息子が留守を守っていた。
曰く、アベルダインの末裔だという。紐解いてみれば彼の母はかつて天国の耳と呼ばれた高名な外交官であり、驚いたことに今はガーダルシアの姫君のもとへ向かっているという。



「兄さんと妹と死ぬまで一緒にいなくちゃいけないらしいわ」
何年ぶりかのリュートを爪弾いてダミアンは呟く。
「悪くはないな」



************


本編は魔物と、その母になろうとした少女の話。
お互いに思い合っているにも関わらず、依存もしつくせない。
結末としてはホーイチの名を継ぐ息子が生まれるわけだが、、、、、魔物のホーイチはそれでよかったのか。いくらトトを泣かせたくないとはいえ、ややかわいそうには思う。最も、その切なさがメイン


後日談が良い。
耳飾りを軸にガーダルシアまでの 旅路を簡潔に描かれている。
耳飾りの起源が、奴隷商によって死んでしまった 母子に起因するものだと夢でわかる。
また、ガーダルシアの魔物の姿がこの母子に基づいているともわかる。奴隷として連れられて、母は亡くなり、息子は魔物に喰われる。散々である。そりゃあ世の中呪いたくなる。

しかし、それは外枠であり、本編よりもわかり易く甘い、こちらも歪な兄弟の話であった。
ミレイニアの一途な姿には大変心惹かれる。急転直下ではったが、後味の良いラブストーリーになっている。しかし、、、「悪くはないな」と答えているダミアン、おそらくよくわかってない。

よくわかってないであろうことも、おそらくミレイニアは察してはいるが・・・。

レビュー投稿日
2019年7月9日
読了日
2019年7月9日
本棚登録日
2019年7月9日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『MAMA (電撃文庫)』のレビューをもっとみる

『MAMA (電撃文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『MAMA (電撃文庫)』に二ノ宮さんがつけたタグ

ツイートする