- この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
- こうの史代
- 双葉社 / 2009年4月28日発売
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下巻。21年1月までの広島。この巻で物語は終わる。
すずさんの意思がいままでになく伝わってくる。
姪も自分の右手も家族もなくしていく。戦争までなくしたとき激しく感情を爆発させた場面では、胸をギュッとしめつけられた。あのすずさんが吼えたのだ。
一番悲しい巻だった。戦争の延長線上に現在があるということ、私たちは忘れてはならないんだということを。
2017年4月14日
- この世界の片隅に (中) (アクションコミックス)
- こうの史代
- 双葉社 / 2008年7月11日発売
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中巻。昭和20年4月までの呉市の生活が描かれる。
過ぎた事、選ばなかった道、みな覚めた夢と変わらないということが心に残る。
戦争はだんだん激しくなっているが、皆が皆、一日を思いやりながら暮らしている。主人公すずの周りには、微笑みが、そしてちょっとの諦念がある。
2017年4月7日
- この世界の片隅に (上) (アクションコミックス)
- こうの史代
- 双葉社 / 2008年1月12日発売
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上巻。舞台は広島県広島市から呉市へ。昭和19年7月まで描かれているが、ほんわかしている主人公すずの醸し出す雰囲気からか、悲壮感よりも、日々をそれなりに生きていく感じが強い。
反面、戦争があたりまえになっているという怖さもあるが。
2017年3月26日
ヒグチユウコさんの4コマ猫日記。猫好きのわたしには垂涎もののうえ、かわいいけれどかなりシュールで、ページをめくる手とドキドキがとまらなかった。個人的にはヨウカンさん登場がツボ。
2016年9月23日
ゴローさん相変わらずの気持ちいい食べっぷり。小腹がすいている時に読むと危険です。
2015年10月13日
西風の精ゼフィルスと共に、ユニコは愛を届けていくんだろう。きっといまこの時も。
2015年7月8日
ユニコかわいい。ユニコけなげ。ユニコせつない。
2015年6月21日
カナダ出身の従姉妹同士で描かれたコミックである。誰一人として美少女が出てくるわけではない。それが故、16歳という思春期のピュアな残酷さが胸を刺す。主人公スキム自身も周りも問題だらけであり、最初は魔術の空想世界に逃げ込んでいる。しかし自然と成長してしまうことがありのままに描かれているので、思わずスキムに自分軸を重ねてしまう。それってストーリーに魅了されたってことだ。
2015年6月17日
- 東京暗闇いらっしゃいませ 中目黒楽日座シネマ (MF文庫ダ・ヴィンチ mewシリーズ)
- 狗飼恭子
- KADOKAWA / 2015年2月25日発売
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失業、失恋と最悪のシチュエーションではじまる物語が面白くないわけがないわけで。映画にこれほど心を満たされるのもわるくない。
とにかく映画館で映画を観たくなる。
2015年4月9日
- 天地明察 下 (角川文庫)
- 冲方丁
- KADOKAWA / 2012年5月25日発売
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大和暦を確立するまでの紆余曲折が明確な筆致で描かれていて、ぐいぐい引き込まれてしまう。天文学全般だけではなく、人との係わり合いや死との向き合い方も明察でぐっとくるものがあった。
2015年4月8日
- LUDLOW GARAGE (ラッドロウ・ガレージ) (ウィングス・コミックス・デラックス)
- 多田由美
- 新書館 / 1993年6月1日発売
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痛々しいんだけれども、アメリカンな風がふきぬける感覚だ。
2015年3月31日
- 僕は問題ありません (モーニングKC)
- 宮崎夏次系
- 講談社 / 2013年8月23日発売
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ゆったりとしていたら背後から肩をたたかれてハッとするが、たたかれたその手が温かいので、キュっとなる。どの短編も救われる点では裏切らないんだな。
おまけの先生シリーズはクスッとしちゃう。
2015年3月11日
純真無垢な心にふれ続けたサイボーグ逢沢りくの感情がクライマックスで爆発する様が感動的である。
2015年3月2日
逢沢りくは、日常をその感受性で受け取ってしまうために、ずるい人にみえてしまうかもしれない。世の中に完璧なんてないのだって解かっている。
だから下巻ではもっと楽に生きていってほしいと、そんなふうに変わってほしいと願ってしまう。逢沢りくであり続けるためにも。
2015年2月24日
- 孤独のグルメ 【新装版】
- 久住昌之
- 扶桑社 / 2008年4月22日発売
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井ノ頭五郎の男気と食べっぷりに拍手。
2014年7月22日
- 統合失調症がやってきた
- ハウス加賀谷
- イースト・プレス / 2013年8月7日発売
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統合失調症を少しでも知ってもらうのに多くの人に読んでもらいたい。ここまで書くのはさぞ辛かったろうと想像できたが、ほんとうに吐きながら紡ぎあげたらしい。感謝の気持ちでいっぱいになった。
2014年3月30日
片思いの偏愛をこんなにいびつに描ききった描写にあっぱれといいたい。表現は珊瑚礁の星の砂を天にばら撒くように繊細なのに、やっていることは思いっきり身勝手だ。ドロドロになる一歩手前で踏みとどまっているのは、高校生というまだ人間的に完成されていない登場人物達のおかげだろうか。
久しぶりに読んだ官能小説笑にドキドキ。
2014年2月28日
上巻に引き続き夜の物語を冒険するさよと仄田くん。何が善くて何が悪かとかじゃなくって、光と闇との対決を通して、中庸でもいいんだってことを、大事なものを抱えるその大切さを教えてくれる。
「七夜物語」のことをすぐに忘れてしまうのは、体験から中庸を学んで成長してしまうからかもしれない。
ミエルとの対決で現実世界と物語の世界がリンクしていることがおぼろげながらわかってくるところは、エンデの果てしない物語や、さくらんぼのクラフティのお茶会は不思議の国のアリスなどのエッセンスも取り入れられている雰囲気で読ませられる。
2014年2月24日
川上弘美さん初の子供向けファンタジー小説は、大人でも子供の頃に戻った感覚を充分に満喫できるストーリーになっている。
さよと仄田くんが図書館で借りた「七夜物語」を実体験していくというワクワク感、エプロンねずみグリクエルと出会うところから一つ目の夜の物語がはじまるドキドキ感は何十年ぶりに味わうものだった。
現実の生活とちょっとずれている生き方しかできない仄田くんが三番目の夜の物語あたりから、ちょっとずつ頼もしくなってくるところがほほえましい。
ちなみに今から四十年前くらいの時代背景で、さよも仄田くんも片親だ。そんな設定は川上さんらしい感じがする。
2014年2月19日
シングルマザーが起業していくストーリーの中に自己再生を浮かび上がらせていく。自然食品のカフェをはじめるというところはちょっと古めかしい気もするが、起業に関しての知識や、滋愛に満ち満ちたお惣菜のレシピなど、そして子供の雪の存在が生命力に溢れていて一気に読ませてくれる。人はひとりでは生きていないということを自覚することと、プライドとの折り合い。気のてらいのない文章が心地よい。
2014年2月16日
- 星を賣る店
- クラフト・エヴィング商會
- 平凡社 / 2014年1月27日発売
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クラフト・エヴィング商會の展覧会「星を賣る店」の図録である。過去のものの「ないもの」商品に全てキャプションがついていたり、装丁した本の写真入り目録があったり、「お客さまの声」として各著名人が寄稿を寄せているのでファン垂涎の一冊だろう。近くに住んでいれば必ずや足を運んでいたであろう展覧会である。うー。
2014年2月13日
- 注文の多い注文書 (単行本)
- 小川洋子
- 筑摩書房 / 2014年1月23日発売
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小川洋子さんからの注文書に対してクラフト・エヴィング商會からの裏返したような納品書、それを受けてのまたひっくり返した受領書という構成になっているところが斬新である。
この世にはない文学世界からの注文はどれも奇天烈でユーモアがある。
「肺に咲く睡蓮」のケースを筆頭に小川さんらしい理系文体を楽しめるし、納品書のフィギュア写真も心に届くということから、これは夢のコラボと言えるだろう。
2014年2月6日
- 夢のなかの魚屋の地図
- 井上荒野
- 幻戯書房 / 2013年12月21日発売
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エッセイってほのぼのしたりしみじみしたりくすくすしたりするものだ。その中で荒野さんのは読み進めていくうちに素足で砂漠の砂嵐の中に踏ん張って立っていて、頬を砂粒が叩いていく感覚を一粒も逃さずに感じているような心持ちになる。特に「庭」というエッセイを読んだ後では。
2014年1月30日
- オレンジが歯にしみたから
- 狗飼恭子
- ノンカフェブックス / 2013年10月1日発売
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昔こういう自分がいたなあと思えるほど大人になってしまったのかとちょっと目頭が熱くなった。こんなにピュアな言葉をつらなれてしまっては、僕は恥ずかしくなってしまうよ。狗飼さんの短編は久しぶりに読んだけれど、やっぱり好き。ズキズキする。
2014年1月20日