リヴァイアサン 1 (中公クラシックス W 55)

  • 中央公論新社 (2009年1月1日発売)
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「そしてまさにこの自然法のなかに≪正義≫(ジャスティス)の源泉がある。」

自然状態では、自分の物理的な命を守るために、何をしてもよい、それこそが自然の権利であると言い、それはまさに、平和が保障されていない時点で戦争状態である、と、ホッブズは言った。

彼の思想は第十三章からであると言われているが、「これは他のあらゆる推論においても同様である。すなわち、著者を信頼してその結論をうのみにし、すべての計算における最初の項目〔それは定義によって定められた名称の意味である〕から結論を引きだそうとしない者は、けっきょくむだ骨を折るだけである。」(p.56)ことより、それより前の、彼の言葉の定義の場所も読んだほうが、彼の主旨をより理解できると思われる。この言葉は同時に、彼の主張を崩されないようにする理論武装だとも考えられる。なぜなら、彼の主張を否定するには、その前提である<自然状態>を否定しなければ、非常に困難だからである。

第六章、第八章は面白く、言葉の解釈や彼の知に対する考え方等学べる点が多くあった。

彼の主張の中で一番興味をひかれたのが、第十九章で、コモンウェルスには、≪君主制≫、≪貴族制≫、≪民主制≫の三種類しかないと言ったところである。それ以外は、たとえば、専制政治は君主制に不満な者の呼び名である等、否定している。

確かに、読むのは疲れたが、頭の良い体操になりました。
中公クラシックスは訳が岩波よりも読みやすく、気に入っています。
ここで書いたことは、素人の意見ですので、その点はよろしくお願いします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2013年5月30日
読了日 : 2013年5月30日
本棚登録日 : 2013年5月30日

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