アイヌもやもや コミックエッセイ 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。
- 303 BOOKS (2023年12月12日発売)


アイヌへの可視化されない微妙な差別問題を、
LGBTQ+他マイノリティの取組みを例に、様々な差別の構造について詳しく知ることができます。まさにこれは自分のことだよなと思い読んでみましたが…著者の心の傷、彼がどれだけ苦しんできたかが感じられて、もやもやではなくグサグサと突き刺さる読後感でした。
確かにこういう腑に落ちない差別、無知や自己防衛が原因のトンチンカンな応答はよくありますが、大体において頭だけ旧時代に置き去りのご年配の方や、承認欲求で思想が拗れ気味のネット民のコメントが多い印象はあります。今となっては「残念な人たちだな」「知らないだけだよな」程度にしか思わないですが、そういった言動や風潮に毎度傷ついていた若かりし頃を思い出しました。
微妙な差別や無理解がこういった本で可視化されて、少しでも改善されれば良いなと思いますし(そもそも、対象の人たちはこういった本を読まない気もしますが…)、あとは、私のような叩かれ慣れて鈍感になった目立ちたがり屋の当事者が声を上げていくことでリアルな身近に可視化されたり、誰もが属性で群れずにどんどん異文化交流をしていけば、ステレオタイプ化も多少は改善されるんじゃないか。そして、自分自身も差別する側にならないよう気をつけたいなと。
時代は変わり、アイヌやLGBTQ+(名称長すぎwクィアで良いのでは?)への差別問題がメディアでも取り上げられるようになり、大分生きやすい良い時代になってきたとは思います。
ただ、アイヌ差別への意識が一部のご年配の方やネット右翼にも浸透していくかどうかは…難しい所でしょう。
本書の著者や、苦難を乗り越えてきた先人たちの努力に、心から感謝です。
- 感想投稿日 : 2024年2月6日
- 読了日 : 2024年2月6日
- 本棚登録日 : 2024年1月20日
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