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看守の流儀 (宝島社文庫)
- 城山真一
- 宝島社 / 2022年1月8日発売
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参った!完全に誤読だった!
続編から先に読んで楽しかったから、前の作品を…。この順番がとてもよかった。
横一直線の傷なんてあったかなぁ?と思いつつも、続編と同じ感覚で読み進めた。少しばかり杓子定規さが不足している気がしたけれど、気のせいかなと読み進めると、後半の真相に劇的に驚いてしまった。これ、続編を先に読んでいたから驚いたんだよなぁ。というか驚きが二倍になった感じ。
逆に言えば、こっちから先に読めば続編の驚きも違ったものになったんだろうな。HTのTの意味が今になって理解できたよ。
私はこの順番に良かったと思う。非常に凄惨な続編のきれいなエンディングが続くのだから、こっちのほうが連続した物語としては楽しい。
面白かった。久しぶりに驚くとともに、読み手の注意力散漫さを反省した。しっかりと読めばわかったはず。ま、わからないほうが楽しいんだけれどね。その意味で星ひとつアップ。
2023年9月18日
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盗作小説 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 1)
- ジーン・ハンフ・コレリッツ
- 早川書房 / 2023年3月7日発売
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結末がどうもエグイな
あまり面白く感じずに、超速読モードに入ったわけだが、結末はアンハッピーだな。女は怖いってな印象は書きすぎかな。
2023年9月18日
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君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生 (メディアワークス文庫)
- 午鳥志季
- KADOKAWA / 2023年4月25日発売
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最近多いような気がする医者卵物語
現実世界の想像ができないのだが、フォーカスを研修医にぴったりとあてた物語は(少し師匠がスーパーウーマンすぎるきらいはあるものの)とても分かりやすくてよい。
自己免疫という素人というかお医者さんじゃないと、とっつきにくい内科が舞台になっているので、そこの部分は読みとばしていかないとストーリーが進まないという弱点があるんだけれど、薄い本だからランチ後にさくっと読めたよ。
2023年9月17日
安定の没入感とふんわりエンド
どこまで書いて終わらせるのかというのは難しいのだろう。はっきりと書きすぎるのも?あまりにもやもやするのも?
本作はどうだったか。冒頭から一気に物語に没入してしまう。自身がまるでそばに霊としているかのごとく。美人が出てくるわけでもないし、突出した能力を持つ超人も出てこない。でも、物語は数ページごとに謎を巻き散らかしながら、どんどんと進んでいく。
残りページが見えてきたころから読み手は不安になる。「おわるんだろうか?」でも、終わりは決まっている。本である以上、残りページを隠すことはできない。今自分が何合目にいるのかが明らかになってしまうのだ。
※空白頁を入れて、それを読者に悟らせない工夫できないか?
徐々に明らかになる『夜果つるところ』の筋書きと、その映画化にまつわるエピソード。謎や疑問は膨らむばかり。
結論から言うと、それらのすべてがすっきりとは解決しない。だから現実感がある。逆にミステリーという意味ではすっきりとはしない。このバランスは難しいんだろうなぁ。作品中にもそう記載されているし。
映画の話がほとんどであり、それを本というテキストで表現しているので、読み手の想像力が試される気がする。合格したのかなぁ自分は。
ハードカバー600ページ超えを一気読みできたのは、読み手がテンポよく替わったり、テンポが速かったりすることによると思うが、それにも増して、やはり作者さんの文章がとても読みやすく正直だからだろう。だまそうではなく、伝えようという感じがひしひしと伝わる感じが好きだな。
2023年9月16日
定番のショート連作
同じ設定でよくもまぁキレのいい作品群を生み出せるものだ。「新」というのはリボーンなのかな。とにかく昔の作品は忘れて、これから読んでねってことで理解。
千枚通しの犯人逮捕っちゅう点が新鮮だけれど、この「新」の「続」もあるんだろうな。
2023年9月16日
続編のようだがエンディングがとても良い
一作目も読みたくなる箱物ミステリー。的確ではないけど、箱物は閉ざされた中でのという意味ね。
最後は主人公退場なんだけど、そこには次への夢が描かれていて、さらなる期待が膨らむ明るさが良かった。プロローグで語られる事象の真実はとても現実的で救えないんだけど、この夢がすべてを帳消しにする破壊力を持つな。
次のシリーズ、ここからはじまんないかな。それより先に一作目も読まないとね。
2023年9月9日
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ヴィクトリアン・ホテル
- 下村敦史
- 実業之日本社 / 2021年2月26日発売
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とってもトリッキーな作品
なんだけれど、どの登場人物も頭に残らない。トリッキーを演出するための脇役に見えるのが、どうもすっきりしない読後感の原因かな。
ゆっくりと読めば楽しめたのかもしれないけれど、今回速読モードだったから読み手の問題なのかもね。
2023年9月9日
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噛みあわない会話と、ある過去について (講談社文庫)
- 辻村深月
- 講談社 / 2021年10月15日発売
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かすかな記憶しかない過去のふるまいを断罪
短編集。能天気な主人公たちがこっぱみじんに吹き飛ばされる物語かな。過去の相手に対する無自覚なふるまいが、自らに舞い戻ってくる。それほどひどいことしただろうか? 主人公は自問しながら、過去を振り返るんだけれど、答えが見つからないような感じ。
テーマはわかるんだけれど、少しウェットすぎるかなぁ。そんなに過去を引きずるものなのな?
2023年9月3日
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カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
- 道尾秀介
- 講談社 / 2011年7月15日発売
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美しい大どんでん返しが決まる傑作
大技だ。これほどの大技はなかなかない気がする。うすうす違和感を感じながら、一応の解決を観た後での、ラストで全く変わってしまう景色には驚いた。
それがいやな終わり方ではなく、とてもきれいな終わり方なのが読後感に清涼感を与える気がするね。文庫本で500ページ一気読みだったよ。休日午前の読書は楽しかった。
2023年9月3日
斬新かつ新鮮かつハートウォーミング連作集
3星つけたのは、ひとつの設定にふたつの解決があること。これは斬新かつ新鮮。しかも、へたれ探偵と陰で支える相棒と中学生の女の子のコンビがいい味だし、どれもハートウォーミングな結末が待っている。
結末はひとつでだってだれが決めた? ふたりに真実と偽真実を語らせるパターンはとても楽しい。この物語、好きだな。
2023年9月3日
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余命3000文字 (小学館文庫)
- 村崎羯諦
- 小学館 / 2020年12月8日発売
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あっという間に読めるショートショート集
どれも圧倒的な非現実な世界で、オチ一発のショート作品。あぁ!と思うものは今回なかったけれど、まだ暑い週末の脳活性化に役立つな。
2023年9月2日
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フランケンシュタインの工場 (奇想天外の本棚)
- エドワード・D・ホック
- 国書刊行会 / 2023年5月27日発売
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そして誰もいなくなった
主人公はフランケンシュタインではないけれど、スパイス的な味わいがあるね。アレンジってことだけれど、当然アガサを超えてはいない。
だからと言って決してつまらないわけではない。でも、少し二番煎じ印象が強くてダメかな。
2023年9月2日
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動くはずのない死体 森川智喜短編集
- 森川智喜
- 光文社 / 2023年5月24日発売
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新鮮なミステリー短編集
表題作が実は面白くなかったんだけれど、悪運のお話はオチも含めて面白かったね。冒頭のドレス切り裂きもどんでん返しが鮮やかな感じがしたし、ビール後の昼下がり(半分寝たけれど)読書を楽しめたよ。
2023年9月2日
前半、後半の圧倒的速度に感服
とにかくオープニングから一気に背景が理解できて、エンディングにかけての怒涛の物語に敬服。逆に言うと、中盤が少しだらだらしているかな。
英語圏の作家さんだと思ったほど、裁判の結果、つまいりオチは外国風。決め手がそれか!と感動というか驚きというか、少し理解しにくい感覚が残ったのも事実。
こんな角度のお話はかなり新鮮なので、また別の作品に期待したいな。
2023年8月27日
犬と猫が主役のファンタジーかな
前作もとてもよかったけれど、今回も楽しめたよ。話というか設定は、前とつながっているんだね。
本作に対する感想ではないんだけれど、作者さんの作品では人がよく病死する。ドンパチで死ぬのではなく、不治の病でというケースが多く、しかも奇跡が起こらない。それが、たとえ本作のように犬猫が主役であっても非現実感を感じない所以なのかな。
死が日常のものではないわれわれとは違う世界とまではいわないにしても、そんな世界を見せてくれることで、自分自身が死や病気を受け入れる準備ができてきている気がする。不思議だなぁ。
でも、冒頭のお話は、かなりつらい話だと思うなぁ。現実だとすれば、登場するどの立場であったとしても慟哭の世界だなぁ。たぶん受け入れられないなぁ。
2023年8月20日
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あなたの死体を買い取らせてください (小学館文庫 む 4-3)
- 村崎羯諦
- 小学館 / 2023年1月6日発売
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気軽に読めるショートショート
でもね、なんとなく重いのと軽いのが混じっている感じ。重いのがもやっとしていて、どうにもすっきりしないのが気になるなぁ。もしかしたら読み手の思い過ごしで、全部軽い感じなのかなぁ。
これ3作目だから、他の作品も読んでみたらすっきりするのかもしれない。作者さんお名前を覚えておこう。
2023年8月20日
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SFのSは、ステキのS+
- 池澤春菜
- 早川書房 / 2022年12月21日発売
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申し訳ありません
さっぱり面白くなかった。半分読んでギブアップした。ごめん。
2023年8月19日
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アーサー・ペッパーの八つの不思議をめぐる旅 (集英社文庫)
- フィードラ・パトリック
- 集英社 / 2017年4月20日発売
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妻を亡くした69歳の男性が過去を知る旅に出る
いろいろと知る必要がないことを知ってしまうのが残念だ。それで救われたのか、私にはわからない。私なら、それより自身の過去を旅したいな。
2023年8月12日
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悪意 (双葉文庫 ま 27-01)
- 増田忠則
- 双葉社 / 2023年2月15日発売
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既読だ!
タイトル変えて出版したんだね。多少修文あるんだろうけれど、違いは判らなかった。ってことで評価なしで、記録のみ。
2023年8月11日
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風ヶ丘五十円玉祭りの謎
- 青崎有吾
- 東京創元社 / 2014年4月20日発売
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かわいいキャラクターたちによる殺人のないミステリー
絵もかわいいけれど、中身もかわいい謎解き物語。登場人物それぞれがかなりの曲者で描き分け大変だろうなと勝手に要らぬ心配をしてしまう。
物語はどれも読みやすく楽しいものだが、高校生ってこんななの?みたいな変な感じが先に立ってしまうのがはるか昔の高校生の悪い癖か。
作者さんもきっとさわやかなお人柄なんだろうなと思いつつ、エアコン室内にて読了。軽くビール飲みながら読む感じがぴったりかな。
2023年8月6日
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マイクロスパイ・アンサンブル
- 伊坂幸太郎
- 幻冬舎 / 2022年4月27日発売
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伊坂節楽しい
散在するパズルピースが、一気にピタリとはまっていく会館に酔いしれる。オチがとかトリックがとかいった要素ではなく、とにかく収斂していくさまが楽しく暑くならないうちの一気読み。
エンディングも(たまたまだが)私が普段思っている通りの世界観。より大きく、より小さく。とても満足。はやく逆ソクラテス(新刊)読みたいな。
2023年8月6日
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かくて彼女はヘレンとなった (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 1)
- キャロライン・B・クーニー
- 早川書房 / 2022年9月2日発売
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映画にするとおもしろそうなクライムサスペンス
さすがニューヨークって感じかな。古き良き時代と現在を行きつ戻りつしながら、ヒロインのダブルネーム理由が明らかにされていく。それはそれで面白いもかもしれないけれど、やはり主題は今発生している事件かな。
その進行中事件が、なかなかスリリング。少ない登場人物の中から、意外な役割を担う主役級がでてくるくだりが楽しいかも。
逆に言えば、昔のほうの事件があまりにかわいそうで・・・。
でも、段組みに慣れていなくて、読みにくかったな。
2023年8月5日
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レモンと殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- くわがきあゆ
- 宝島社 / 2023年4月6日発売
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一生懸命さを感じる作品
真夏のAM寝っ転がっての読書。とにかく丁寧に仕上げた作品の印象が強い。起伏はあまりなく、むしろ平坦だけにラストのヒロインが際立つ感じかな。
種も仕掛けもない真っ向勝負で小気味よいわけだけれど、ラスト覚醒の盛り上がりが少し控えめだったかな。
2023年8月5日
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傑作ミステリーアンソロジー 京都迷宮小路 (朝日文庫)
- 浅田次郎
- 朝日新聞出版 / 2018年11月7日発売
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暑くて集中できない
著名作家さんにやるアンソロジー。連城三紀彦作品が渋い。
2023年7月23日