男女4名のドラマ
山というより男女の物語。
ひとりの美人登山家を山男2名が奪い合う。そこに美人登山家の高校時代の友人が対抗意識だけで絡んでややこしくなる。
これ以上登場人物が増えると大変だが、4名だけなのでわかりやすい。
山男2名とともに縦走を計画した山女は、その頂上でどちらを選ぶか選択を迫られるのだが、結局どちらも選べない。
ラストでは、川を渡る山男たちに対して丸木橋を渡る山女が表現される。
橋が水面にくっついたり離れたり。見守る山男を意識しながら、山女は橋を渡りきる。橋の浮き沈みが山女のこころの揺れを表している。山男のザイルに助けてもらうことを拒否することで山女は両方を男と決別する。印象的なエンディングだ。
巻末の解説では山の本となっているが、実際は山が脇役の意欲作と見る方がいいと思う。先のミステリーに加え、この手の小説も上手なんだなと改めて新田次郎の筆力に驚いた次第。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マウンテン
- 感想投稿日 : 2011年9月16日
- 読了日 : 2006年3月13日
- 本棚登録日 : 2011年9月16日
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