回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

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本棚登録 : 4088
レビュー : 324
著者 :
MOTOさん  未設定  読み終わった 

子供の頃、(不思議だなぁ)と驚いた。
それは、グラスの中の水が
<本当の>水として描かれている絵を初めて観た時のこと。

私の絵の具箱にある「水色」じゃ、あの透明な絵は描けない。うすーく塗っても、白と混ぜてもダメだった。
あれはきっと、大人の人が買える値段の高い『透明色』の絵の具。
欲しいなぁ。透明色の絵の具でいつか絵を描いてみたいなぁ。

読書中、今も手に入れられずにいるあの絵の具の事を思い出してしまったのは、
全て事実だ、と言う9編のエピソードがいつの間にか屈折し始めていたから。
著者の視点と読者の視点の間に隙間は無く、この目で水底まで見える美しい流れを見ていたつもりになっていたのに、
小石が揺れる。
魚が歪む。
落ち葉で目が散る。
透明の正体は<色>にあらず。

本当を、人も気付かぬほどちょっとだけ歪ませて
もうひとつの本当に見せていただけ。
動きがある透明に絡まれた(本当)のほうが私は好み♪

レビュー投稿日
2018年5月22日
読了日
2018年5月22日
本棚登録日
2018年5月22日
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