間違いなく生きてはいるのだけれど。
実際に、
「今、生きている」事を実感している意識って、
私の場合、特に無いな。と感じてしまった。
無意識に繰り返す呼吸。
規則正しく、心臓に負担かける事もなく、
穏やかに、
心地よく、
まるで、息をしている事を忘れなさい、なんて
暗示をかけられているか、のごとく。
だから、
彼らの走りを傍観していて、
いろんな意味で胸が苦しくなった。
いつもの呼吸が激しく乱れた。
走る事に何の意味がある?
チームの為に、死力を尽くさなければならない理由とは何?
走らなくても
人は生きていけるのに、
何故、彼らは10人がそれぞれの区間に、
何もかもを注ぎ、次のランナーへと托す襷に全てをかける事が出来たのか?
「俺は知りたいんだ。走るってどういう事か。」
心が体をどうしようもなく、突き動かす事がある。
それは、一体何故だろう?
どこから沸いてくる思いだろう?
人によって、心にふつふつと芽生えるそれは
全く異なるとは、思うけれど。
疑わず、その芽を摘まず、
心の赴くまま、目の前に現れた「道」を
ひたすら突っ走ってみよう、と、決めた彼らのほうから、
強く風が吹いてくる様な気がした。
それは、間違いなく「生きている」事を実感させてくれる風であった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2013年4月8日
- 読了日 : 2013年4月8日
- 本棚登録日 : 2013年4月8日
みんなの感想をみる