仏教入門親鸞の「迷い」 (とんぼの本)

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  • 新潮社 (2011年9月1日発売)
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感想 : 4
5

理解できない、
共感し合える点がどこにもない。

それでも
ストーカーのごとく追っかけたい人がいる。
私にとって
それが『親鸞』だった。

歎異抄からも
その生き方からも
私が持つ<どこかで買ってきた>既成のハンマーでは
彼の牙城を打ち崩すことが出来ず、
私の中で彼は
これまでずっと悟りの中で眠ったままの存在だった。

お~い、
もしもし。
コンコン。
今日も眠ったままの彼がいるその外側を叩きながら
本の頁を捲る。

親鸞の「迷い」に焦点をあてたこの本は
とてもわかりやすかった。

彼が生きていたのはは
運悪く生き地獄の様な時代。
政治の混乱に加え、地震、台風、飢饉、に京都の大火災など、まるで不幸のオンパレード。

現代だって決して生き易い時代とはいえないが
(どの時代もそう?)
その頃は本当の地獄だった。
まるで神から生きる事を拒否られてしまったかの様に。
 
親鸞はそんな中で
夢のお告げや法然の「一心に念仏さえ唱えれば救われる」という教えに開眼したのだが…

揺るがない信念をもった、にも関わらず
(俺が祈ってても、苦しんでる人は実際救われてないじゃないか!)
なんて、迷いがゆらゆら。
しかも、本能が持つ『欲』にまで負けそうになったり…。

でも、
なんて人らしい人なんだろう。
女性を愛おしい、と思う心から妻を娶り子を育て、
もはや普通のお父さんと変わらない一風変わった聖人君子。

本当の地獄と本当の迷いの中にいながらも
「苦悩ばかりのこの世なのに、
 やはり、それを捨て去る事はできません。」
と、ぼやきつつ人々を真の意味で救済していった。

いつか『歎異抄』理解できるようになるといいな。
すると、
眠ったままにて親鸞が
「おい、わしは生きている間、一度も己が悟った、と思った事なんかないぞ。」
などと、寝言。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年8月20日
読了日 : 2015年8月20日
本棚登録日 : 2015年8月20日

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