贖罪 (ミステリ・フロンティア)

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レビュー : 945
著者 :
MOTOさん  未設定  読み終わった 

長閑な田舎町で起こった凄惨なる美少女殺人事件。

目撃者は小学4年になったばかりの少女が4人。
犯人は堂々と彼女達に近づいて来た。

「誰か、ひとり更衣室の修理を手伝ってくれない?」
みんな
「私が」
「私が」
と、積極的に手伝おうとするなかで
ただひとり黙っていた美少女のエミリちゃんに白羽の矢は立った。

「君が一番ちょうどいいな。」

じゃあ、私達もついていくから、と言った4人に
「たくさんいても邪魔になるだけだから。みんなは待ってて。」

そしてエミリちゃんは無残にも殺されてしまった。

5人もいて。
5人もいたのに、何故エミリが?!

泣き叫ぶ母親。

更に。

こんな状況下にあって信じられないことに

彼女達の誰一人として犯人の顔を思い出せないとは。

怒りに我を忘れてしまった母親は

4人を呼び出し、恐ろしい呪詛のような言葉を吐きかける。

「あなたたちを絶対に許さない!
時効までに犯人をみつけなさい!
でなけれな償いをしなさい!

どちらも出来なければ、私があなたたちに復習をしてやる!」

その後、この母は夫と共に村を出て行ってしまうが、
残った少女達はそれからもこの忌まわしい土地で、
罪の意識に苛まれながら、
犯人の影に怯えながら、
どんな風に成長していったのだろう…

それぞれの心情とその後の人生をひとりひとりが語ると言う構成は
以前読んだ『告白』にも似ている。

彼女達の告白はやがて小さな点となり、
その小さな点の散らばりがいつしか繋がり、犯人像に近づくという所はミステリー色が強い様にも思われた。

ミステリー…と、言っても
確かに犯人が誰かは気になるものの、
著者が書く人物像の心情にはそれを遥かに越えて、
考えさせられる深いものがある。

それは、
美しく光るベリーのCAKEを囲んで、
にこにこと楽しそうに(しなければならない)痛い日常の裏側で
笑いたくなんかない。食べたくなんかない。
そんな、ひらひらとした薄っぺらい皮の様な仮面を著者は容赦なく剥がし、

本当は

笑いたかった、食べたかった、分かり合いたかったんでしょ?
畏れたり、怒ったりするまえに、泣きたかった。
謝りたかったんでしょう?

読後、表紙とタイトルを眺めながら、そんな声をどこかで聞いた様な気がした。

レビュー投稿日
2012年11月6日
読了日
2012年11月6日
本棚登録日
2012年11月6日
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