人と人との間にある、空気を意識する様になったのは、
いつの頃からだろう?
(何、考えてるのかな?)
(つまんない人、と思われてないかな?)
(何か、共通の会話、会話は…っと。)
言葉がまるで相手と自分をつなぐ唯一の鎖であるかの様に、
私は
いつも考えに考え抜いて、
恐ろしい『無音』の状態を作らないように、と、
気を使い続けてきた、様に思う。
そして、それは
相手をまるで、信頼していない事であった、様な気がしてきた。
多田と、仰天。
紆余曲折あって(←端折りすぎか?)
一緒に暮らし始めるようになったものの、
どちらも多弁なほうじゃない。
でも、
多くを語らなくたって、お互いがお互いの事をしっかり理解しあってる。
最初は、
ふたりの背後にある過去を何も知らず、
でも、少しずつ明るくなってきて、
多田、仰天、ふたりの人間がこれまで歩いてきたきっつい道を、
お互いが知る事となって、
(だからと言って、かける言葉も特に無かったが。)
二人の間に流れる空気の質が、
私には見た事の無い様なものに、変わった!
…事に、不思議な安堵感を覚えた。
共に暮らすふたりだもの。
衝突する事も、すれ違う事も、許せない事もある。
「出て行ってくれ」
と、ついに、発した最後の言葉に黙って従う仰天。
「わかった・・・。」
でも、
でも、
いやぁ~、ラストのシーンは良かった
(あ、この場所は)
多田が優しい目をして、じっと見つめているその場所に仰天は座っていた。
(次に発する言葉はわかる。)
とても、長いショットだったと思う。
押し黙る二人が、そこにいるだけで、
なんという心地よい空気!
会話なんか無くても
人と人との間に流れるこの居心地の良さは…。
そうか、
それまでふたりが積み重ねてきた時間にあるんだ。
視線の先に、いつも居てくれればいいな、と思う人。
が、
いた。
魅せてくれるとてもいい映画であった。
- 感想投稿日 : 2013年7月3日
- 読了日 : 2013年7月3日
- 本棚登録日 : 2013年7月3日
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