鋼鉄の叫び (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2013年7月25日発売)
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本棚登録 : 93
感想 : 13
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『特攻に出撃するまでの葛藤と苦悩がよほど大きかったせいか、無人島で生きることが過酷と思わないのだ。むしろ快適でさえある。なにしろここには不合理がなかった。もっと厭うべきは、不合理と集団が結び付いてもたらされる、無形の圧迫である。重く澱んだ集団の空気は、世界を狭く、住みにくいものとする。何が嫌といって、小さな檻の中に閉じ込められるのだけは、まっぴらだった。鉄製の檻ならばまだしも腕力でどうにかなる。だが、目に見えぬ情緒によって形成された檻は、破りたくても簡単に破ることができない。』

『永遠の0』より好きだな。空気に支配されて個を喪失する日本の集団主義の中から、いかにして自由になるか。過去と現在の物語をうまくつないでいて、考えさせられる素晴らしい作品だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸
感想投稿日 : 2014年6月9日
読了日 : 2014年6月9日
本棚登録日 : 2014年6月9日

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