絆 (集英社文庫)

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  • 集英社 (1990年6月20日発売)
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感想 : 46
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ー これまでの検察側の尋問においても、被告人の犯行は浮き彫りにされたのである。さらに、被告人自身も自白している。このようなケースにおいて、なおかつ原島弁護士だけが無実の主張をしているのだ。

事実はなにか。法廷にさらけ出されるのは、『訴訟上の事実』であって、『真実』ではない。『真実』は神にしかわからないのだ。
冤罪事件の多くは不当な自白から起こっている。冤罪事件の弁護は、捜査側の自白強要による嘘の供述の指摘からはじまる。つまり、被告人は取調官の過酷な追及に抗し切れずに、ついにやってもいない事件を自白してしまうのだが、裁判に入って、その自白をくつがえすことから、冤罪裁判がはじまるのだ。

ところが、この事件の被告人弓丘奈緒子は、裁判に入ってもすなおに罪をみとめている。その被告人を無実だと、原嶋弁護士は言いはなったのである。 ー

起訴事実をすべて認めている被告人を無罪だと主張する弁護士が紐解いていく“真実”。
後半の弁護側の冒頭陳述からの展開が面白い!
背後にある重たいテーマも考えさせる作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年9月9日
読了日 : 2019年9月9日
本棚登録日 : 2019年9月9日

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