『交渉というのは価値観の異なる他者との対話だ。だから、ときにはまったく解決がつかない場合もある。どこまでいっても平行線にしか見えないことも……。
けれども、それに対して知恵を絞り、言葉を絞り、体力を絞って、両者が進むべき道を模索しなさい。その行為は、人間が最も知的である瞬間なんだよ。
たとえその場で、どれほど乱暴な、どれほど感情的な言葉が飛び交ったとしても、最後まで決してあきらめるな。間接的な効かせ方とはいえ、言葉は暴力を止められることもある。それを忘れてはいけない。』
人類滅亡が迫る中、言葉の力だけで平等で人々が安心できる社会を築こうとする青澄の行動原理に共感はできないけれども、共感できないからこそ物語が面白くなっているのですごく良かった。
人間の複雑な感情が織りなす物語をAIの視点で描いているところが秀逸。そのAIにこそ感情移入してしまう不思議な作品。
人類滅亡が始まるまでの40年間を描いた続編も読みたい!
久しぶりのSFだったけど、素敵な作品だったなぁ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2017年3月29日
- 読了日 : 2017年3月29日
- 本棚登録日 : 2017年3月29日
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