脂肪と言う名の服を着て-完全版 (文春文庫)

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本棚登録 : 403
レビュー : 54
著者 :
sstrip028さん ジェンダー   読み終わった 

日陰者OLであるのこは、周りの人間を見返すために痩せることを決意し、ダイエットを行なう。過食嘔吐を繰り返すことで体重は減るが…

ここで「痩せること」を通して描かれているのは、「女が力を獲得すること」の二つの側面。

一つは、「男社会への抵抗」。意志を持って自己の身体を管理し、自尊心を取り戻すことは、取りも直さず、男への依存から抜け出すことになる。
しかしそれは、一方で「女の自立」を恐れる男たちからにとっては脅威となり、さらなる排除を招く。男社会の中で適応的に生きていくためには、女が力を持つことは必ずしも有利になりえない。


もう一つは、女社会内でのヒエラルキーの向上であり、それはより弱い立場のものを見下し、上に立つことでもある。

のこは結果として獲得してしまった力が与える影響にとまどえ、そしてリバウンドをしてしまう。

ダイエットをサポートするエステ社員は、ダイエットを終えた後にリバウンドしてしまったのこを「心がデブ」と呼ぶが、ここで批判されているのは、他者の評価からは自立した形での、自己の精神のコントロールができなかったのこの心の弱さなのではないか。


おそろしい作品である。

レビュー投稿日
2011年12月27日
読了日
2011年12月27日
本棚登録日
2011年12月27日
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