劇画ヒットラー (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (1990年7月30日発売)
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劇画とはあるが、しっかりとした内容で、ヒットラーの狂気性と共に、したたかさがよく描かれていると思う。

過去を振り返って、何故理知的なドイツ国民があの様な狂気的独裁者に率いられてしまったのかという話があるが、ヒットラーには、当時ドイツが必要としていた交渉力、明るい未来を描け、それを国民に分かりやすく説明出来る能力が備わっていたのだろう。

経済が良くなると支持率は下がり、逆に経済が悪くなると上がる中で、第一次世界大戦後、連合軍から押し付けられた負の遺産でボロボロになっていたドイツにあって具体的絵を描いて見せる事の出来たのがヒットラーであった。自演自作で不安を煽り、それを解決する事により支持を得るというのも典型的な手法である。

日本国民として、どんなに苦しい時にあっても感情に流されるのではなく、理性的に判断できる精神力と判断力を養っておきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年7月18日
読了日 : 2016年7月17日
本棚登録日 : 2016年7月17日

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